一つの企業で働き続けて30歳に差し掛かると、どの職種でも自分自身のキャリアについて考えるようになります。
上司や周りの先輩を見ていて、「定年までこのまま働けるのだろうか?」と不安を抱く人も多いでしょう。
特に社内SEという職種では、以下の2つの理由から定年まで働けるかどうか不安に思う方が本当に多いです。
- SE自体が「SE35歳定年説」といわれている(いわれていた)
- ITエンジニアなのにプログラミング能力を必要としない
一般的には30歳を超えたあたりから、そういった将来に対しての不安を抱くことになりやすいです。
「全てのSEが35歳で仕事がなくなる」というわけではありませんが、年齢を重ねるにつれて会社で求められる仕事内容や役割は変わっていきます。
社内SEとして長く活躍するためにも、どのような心構えや行動が必要か理解して仕事に取り組みましょう!
社内SEとして働き続ける上での不安とはどのようなもの?
会社員として働き続けていると、一般的には30歳前後には自分自身のキャリアプランについて考える時期に差し掛かります。
社内SEも例外ではなく、「このままこの会社で社内SEとしてやっていけるのか」という不安を抱く人は多いです。
ここでは、社内SEとして年齢を重ねるにつれて抱くようになる不安について4つご紹介します。
1. 新しい技術についていけなくなることへの不安
社内SEとして年齢を重ねるとスキルも向上していきますが、「常に進化していく技術についていけなくなる」ことを感じる人がいます。
IT業界では日々新しい技術が登場するため、SEとして第一線で働くためには常に情報をキャッチアップして、知識を身につけることが重要です。
しかし、人は年齢を重ねると学習意欲が低下して、新しいことを理解し覚え込む能力の陰りが出てくると言われています。
もちろん30歳を超えても勉強意欲が強い人はいますが、一般的な転職市場などでは新しい技術をキャッチアップする能力については若い人の方が有利とみなされます。
実際に社内SEとして働いていて「技術トレンドについていけなくなる」ことに危機感を覚え、SIerやWeb系スタートアップに転職する方は結構多い印象です。
そもそも社内SEに必要とされるスキルはSIerやサービス開発をするSEとは異なるので、余計に不安を覚える方もいるのでしょう。
2. 残業や休日出勤が体力的に厳しいことへの不安
年齢を重ねるとどうしても体力が落ちてくるため、残業や休日出勤などの過重労働が厳しくなって、それに不安を抱く人もいます。
一般的にSEという仕事は、徹夜や残業が少なくない業界であることから、体力がないとやっていけない仕事と思われやすいです。
最近は改善されてきてはいるものの、特にプロジェクトの締め切り間際になると、どうしても勤務時間が長くなるでしょう。
しかし、年齢を重ねると想像以上に体力が低下してしまい、若手のように激務のプロジェクトをこなすことができなくなります。
3. 管理職になり現場から離れることへの不安
30歳を後半に差し掛かると次第に管理をする立場になり、それに不安を抱く人もいます。
このあたりの年齢になると、プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーのポジションであったり、係長や課長であったりする人が多くなるでしょう。
40代になると、よほどの特殊技能がない限りは肩書きのない社内SEはほとんどいなくなります。
そこで、現場での仕事から段々と離れていくことに不安を抱く人もいます。
4. 社内でしか通用しなくなり転職が難しくなるのではという不安
社内SEを続けているとプログラミングなどの業務がほとんどなくなることから、「社外で求められるプログラミングスキルが身に付かず、転職が難しくなるのでは?」と考える人もいます。
事実、プログラミングに関しては社内SEという立場だと携わることはほぼありません。
社内SEに求められるスキルは、一般的なプログラマーやSEとは異なりゼネラリスト寄りな要素が大きいのです。
中には内製化に注力している企業もあるのですが、ほとんどの場合は外注に任せてしまうことも多いです。
その会社での業務や仕事の進め方に精通していることは、そのままその会社で働く上では大きなアドバンテージになりますが、その会社を離れるとほとんど役に立たない可能性もあります。
実際に社内SEは定年まで働ける職種なのか?
社内SEのままでも、実際には定年まで働き続けることはできます。
しかし、同じ社内SEでも年齢に応じて求められる責任範囲が広くなり、その役割も異なってきます。なので、定年まで働くのであれば仕事や役割の変化に対応する必要があります。
特に40代に差し掛かると、システムやプロジェクトのマネジメントが主な業務として求められるようになります。
そういった役割の変化に対して柔軟に対応することができなければ、社内SEとしてそのまま業務を続けることは難しくなり、自分の意思とは全く関係のないキャリアチェンジを行わざるを得ない状況になります。
30歳になったら考えたい、社内SEとしてのキャリアプラン
一つの会社で働き続けるにしても転職するにしても、30歳という年齢は一つの転機になるでしょう。
ここでは、30歳になったら考えたいキャリアプランについて具体的に記します。
1. 情報システム部門で管理職を目指す
最も一般的なキャリアプランは、社内SEのままで仕事を続けていき、その情報システム部門の管理職になることです。
現場のエンジニアとして一生を過ごすことも不可能というわけではないですが、一般的には管理職として働く方が年収面でも労働環境面でもメリットがあることが多いです。
ただし、管理職には、社内SEとして身につけた技術スキル以外にも、予算管理、人材管理や教育といったスキルが必要になってきます。
2. 特定の技術のスペシャリストを目指す
管理する立場になることに不安を抱いているのであれば、何か特定の技術のスペシャリストになるという方法もあります。
例えば、社内SEとしてインフラ管理の実績を積んでいれば、ネットワーク、データベース、セキュリティといったスキルの一つを極めていくことで、その専任になることもあります。
あるいは、需要が高い技術であるにもかかわらずその会社では評価されないというものであれば、その技術を必要としている企業へ転職することもできます。
近年で特に需要のあるスキルとしては、Webエンジニア、AI、データサイエンティスト、IoTエンジニア、クラウドエンジニア、セキュリティエンジニア、AR/VRエンジニアなどです。
3. プロジェクトマネージャー専任になる
30代になるとプロジェクトマネージメントを兼任する人も出てきますが、そのプロジェクトマネージャーを専任として目指す方法もあります。
プロジェクトマネージャーは、プロジェクト計画の立案やプロジェクトマネージメントを行う職種です。
それには、マネージメントスキルだけではなく、アプリケーションやインフラなどといった技術に関する知見も求められます。
それに加えて、所属しているメンバーからの信頼が得られるような人望も必要となります。
ただし、一般的な事業会社ではプロジェクトマネージャーという職種は設けられていないので、コンサルティング企業かIT企業への転職となるでしょう。
4. ITスキルを活かせる他の部門へ異動する
そもそもSE以外の業務を行いたいということであれば、社内SEの経験を活かして他の部門に進む人もいます。このプランは意外に見落とされやすいです。
例えば、デジタルマーケティング部門、EC部門などではITスキルも求められていることから異動できる例がちらほらあります。
直接的にITやデジタルに関わる部門でなくとも、営業、経理、総務といった部門でITリテラシーを向上させる役割を担うことも考えられます。
社内SEとして実績がある方であれば、異動先の部門のIT担当としても重宝される人材になるでしょう。
このプランのポイントは「社内で細かく探してもらうために、自分の意思が強いことをはっきり伝え続けること」にあります。
常日頃からポジションとして用意されているのではなく、社内外に獲得可能な適任者がいるとなった段階で新設されるポジションなのです。
このような特例的な異動は会社の考え方に大きく依存することから、思い通りにはならないことも普通にあります。
自分から要望を出さないことには会社側がどこまで揉んでくれるかわかりませんので、まずは意志を伝えていくことが大事です。
5. 社内SEのままで他の企業へ転職する
社内SEとして他社へ転職することも一般的なキャリアプランです。
「社内SEは好きだけど、今の会社にはどうしても馴染めない」あるいは「当面は社内SEとして業務を続けたいけど、自分が目指しているスキルが身に付きそうにない」などといった人もいるでしょう。
そういった人には社内SEとして他社へ転職することも選択肢の一つになります。
社内SEは転職業界でも人気のある職種であり、競争率も高いですが、他の企業で社内SEとして実績を積み重ねた人であれば、ライバルと比べても断然有利になります。
ただし、転職する企業の業界や規模によっては、求められるスキルに違いがありますので、あらかじめどのような業務に携わりたいか明確にした上で転職活動をしましょう。
一般的に社内SEに求められるスキルについては別のページで解説していますので、転職活動をするなら自己診断として確認しておくとよいでしょう。
6. ITコンサルタントに転身する
社内SEとしての経験を活かして、ITコンサルティングになる方法もあります。
社内SEが各部門の要望に合わせて業務の一部のシステム化を実現することに対して、ITコンサルタントは経営の課題を把握したうえでIT技術を使って課題を解決する役割です。
従ってコンサルタントになるには、ITについての知見だけでなく、論理的思考力やコミュニケーションスキル、業界についての知識なども必要になってきます。
ただし、この場合には、事業会社に留まることではなくSI企業やコンサルティング企業などへ転職するということになります。
ITコンサルタントに関しては別ページで詳しく解説していますので、併せてチェックしてみてください。
社内SEとして定年まで働くために必要な心構え・すべきことは?
社内SEとして働き続けるためには、仕事に慣れてきた30歳ぐらいの頃から考える必要があるでしょう。
他の職種に転身するのであればなおさらのこと、自分の目指すところを考えながら準備をしておくことが重要です。
これから説明する3点を意識して仕事に取り組めば、年齢を重ねることに対する不安も少なくなるでしょう。
1.マネージメントスキルを身につける
1点目は、マネージメントスキルを身につけることです。
現場で手を動かす仕事から、管理職、あるいはプロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーへキャリアアップする準備を進めましょう。
マネージメントを担うためには、ITに関するスキルに加えて、予算やスケジュールなどを管理する能力、そしてチームをまとめるためのコミュニケーションスキルも重要になってきます。
そういったスキルを身につけることを意識して、仕事に取り組みましょう。
2.需要がある技術を習得する
現場の第一線で働き続けたいのであれば、需要のある技術を身に付けることが最も重要になります。
企業にとって無くてはならない技術であればその企業の中でも重宝される人材となるでしょうし、一般的にも需要がある技術をもっていれば転職を希望したとしても広い選択肢の中から条件の良い企業を選ぶことができるようになります。
そして余力があれば、その技術に関連する資格を取得することで、大きなアピールポイントになり、キャリアアップや年収アップに役立つ可能性もあるでしょう。
3.業界に関わる業務知識に精通する
業界に関わる業務知識は、社内SEにとってIT知識と並んで重要なポイントです。
業務についての知識が無ければ課題や問題点を洗い出すことができず、要件に合ったシステムを構築することはできません。
業界での業務知識を習得しているSEは同業他社でも常に需要があることから、転職する際にも有利になります。
まとめ
社内SEは定年まで働き続けることができる職種ですが、年齢に応じて役割が大きく変わっていきます。
ただし、その変化に適応しながら社内SEを続けることもできますし、社内SEとしての経験を活かして他の職種に転身することもできます。
一番重要なことは、自分自身がどのようなキャリアビジョンをもって成長していきたいのかということです。
自分のキャリアについて職場に相談できる人がいなければ、転職エージェントへ登録してキャリアアドバイザーに相談すると良いでしょう。
キャリアアドバイザーであれば、労働市場に応じての客観的なアドバイスをもらうことができるからです。
この記事でお伝えしたことを参考にして、将来のキャリアについてぜひ検討してください。
SEが後悔せずに転職するために覚えておきたいこと
SEがエンジニア職としての転職を後悔しないために、いくつか覚えておいて欲しいことがあります。
それは以下の3つのポイントです。
- SI業界(Sier企業)は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
- SI業界は年功序列が根強く、評価が良くても大きく年収が上がることはない
- 転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを利用する
1.SI業界は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
SI業界はDXの追い風を受けて業績好調と思いきや、実際のところは企業淘汰が始まっています。
足元の状況を見ても官公庁にまでクラウドが普及しているのが現実で、オンプレのシステムはどんどん減らされています。
例えば富士通を始めとして早くからクラウドに取り組んでいた企業は生き残れそうですが、従来の技術しか持たない会社は利益の出る仕事を既に取れなくなってきています。
まさに2極化といって差し支えない状況が生まれています。
大手だから安心ということは全くなく、クラウド、更にその先のITの進歩や、移り変わりが激しいトレンドにフィットしていける企業を選べているかがミソということです。
2.SI業界は年功序列が根強い。評価が良くても大きく年収が上がることはない
SI業界の給与体系が「年功序列」であることは、多くのエンジニア社員にとってモチベーションが下がる事実です。
基本的にはクライアントありきの仕事内容ですから、競合他社と変わらない仕事をしているのに全然給料が違うということはザラにあります。
安易な転職はおすすめできませんが、結局のところ給料を上げるには「今より給料テーブルが高い企業に転職する」というのが最も近道です。
高評価で頑張ってるのに年10万すら上がらないというのはよくあることですが、転職したら同じような仕事なのに年70万も給料が上がったというのもよくあることです。
3.転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを選ぶ
エンジニアの仕事を詳しく知らないエージェントは選んではいけません。
- もっと経験が活かせる企業があったはずの人が、「とりあえず経験者がほしい」という程度の企業ばかり紹介された
- もっと高待遇で転職できたはずの人が、PRの仕方を知らないがためにそこまで給料を上げられなかった
ITエンジニアは引っ張りだこですので、転職するだけなら簡単に転職できます。
せっかく転職するなら、自分の経験を必要として高待遇で迎え入れたいという企業に選んで欲しいと思いませんか?
安易に「どこかで聞いたことがある転職エージェント」を使ってしまうと安売りされてしまう原因になります。
人材業界にはエンジニアの仕事のことをよく理解していて、顧客・求職者双方を上手くマッチさせてくれるエージェントも存在します。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを選ぶことは、転職での失敗を避ける基本だと覚えておきましょう。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェント
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを使うことは、2つのメリットがあります。
- これまでの経験を活かすことができ、転職後に必要とされる企業を見つけられる
- 年収を始め、自分を採用するために好条件を出してくれる企業を見つけられる
エンジニアにとっては転職で売り手市場な時期なので、せっかくなら好条件を出すと言ってくれる企業に転職したいですよね。
そのためにはエンジニアの仕事に詳しく、企業が求める人物像や背景を理解でき、求職者の能力を正確に把握してくれるエージェントが必要です。
技術面に詳しく、求職者へも親身に対応してくれる転職エージェントとしては以下の2社が挙げられます。
1.レバテックキャリア
IT分野の皆さんは、まず第一選択として「レバテックキャリア」は登録するということで問題ないでしょう。
特に、年収アップとスキルアップを目的とした転職においては、豊富な知見をもとに強力な力になってくれるはずです。
年収アップした求職者が7割を超えているということで、30〜40歳ごろの「転職で失敗できない重要タイミング」の方にも多く選ばれています。
もちろん、エンジニア経験者であれば20代も歓迎されます。
- ITエンジニア経験者の転職支援に特化した専門エージェント
- 保有求人7000件以上のうち、8割以上が年収600万円以上の求人(登録者の77%が年収アップを達成した高実績がある)
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※サービス対象エリアは、関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)/関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)/九州(福岡)/東海(愛知)
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