社内SEの退職理由として多いのはどんな理由?
ITエンジニアは、そのスキルに汎用性があることから転職が多い職種です。
ただし、そのITエンジニアの中でも社内SEは特別な役割を担うことから、社内SEならではの問題を感じての退職もあります。
社内SEが退職を考える理由で代表的なものは、次の5つになります。
- 理由1. 会社の社風が合わない
- 理由2. エンジニアとしてスキルアップすることが難しい
- 理由3, 夜間や休日でも対応に追われる
- 理由4. 仕事が評価されにくい
- 理由5. 自分の能力が不足している
それぞれについて、詳しく解説していきます。
理由1. 会社の社風が合わない
「会社の社風が合わない」というのは、退職を考える大きな要因といえます。
会社の方針や社風は会社によって様々であり、それが正しいか正しくないかという問題ではなく、どうしても馴染めないということであればストレスを感じてしまいます。
ただし、こういった理由で退職するのであれば、誰もが納得するような内容を示すことができなければ転職は難しいでしょう。
いわゆるネガティブな転職だと思われがちだからです。
理由2. エンジニアとしてスキルアップすることが難しい
社内SEとしての仕事を通じて経験を積んでもスキルアップできそうにないと感じると、退職を判断する人もいます。
社内SEは、自ら開発を進めることは少なく、その仕事の大半はシステムの企画と社内での調整だからです。
従って、エンジニアであるにも関わらず直接開発に携われないことにストレスを感じる方も大勢います。
また、社内SEはネットワーク含め社内のIT関連はすべて担当していることから、ユーザーの些細な問題についても対応する必要があります。
特にヘルプデスクなどでは「社内システムの使い方」や「Microsoft Office 全般の使い方」についても対応することになります。
高度なスキルを持っている人であれば特に、こういった業務を毎日繰り返しているとスキルアップができない危機感と焦燥感に襲われる可能性があります。
理由3. 夜間や休日でも対応に追われる
社内SEは夜間や休日でも対応に追われることがあり、それが原因で心身共に疲れてしまい退職することもあります。
例えば、システム障害やコンピュータウィルス感染などといった問題については発生した時刻を問わず即対応しなければなりません。
あるいはシステムサポートの担当者として夜間休日でも携帯電話を持たされると、たとえ携帯電話に連絡がなくても気持ちが休まらない日々が続きます。
そういった業務が繰り返し発生すると、過大なストレスとなって退職を考える人もいます。
理由4. 仕事が評価されにくい
「仕事が評価されにくい」ということも、社内SEの退職理由としてはよくあげられます。
営業などと比べて利益を直接生まない情報システム部門は成果が見えづらく、どうしても評価されにくいからです。
IT分野に関して分かる人がいない職場であれば、質の良いシステム開発をしても「誰にも認められない」「正当な評価が受けられない」可能性はさらに高くなります。
一方で、社内SEとして働いている当人にとっても「自分のスキル感では、一般的にどれほどの給料を受け取れるのか?」を判断することが難しいことから、自分自身の成果をうまくアピールすることができないことも多くあります。
理由5. 自分の能力が不足している
社内SEは業務範囲が幅広く、社内のIT関係全ての業務をこなさなければならないので、ITについての全体的な知識やスキルが不足している人にとっては難しい職業です。
例えばアプリケーション開発の知識しかない場合には、ネットワーク関連の業務ができないなど自分のスキル不足を感じて退職に至ることがあります。
特に社内SE以外のエンジニアから転職してきた人にとっては、今まで経験してきた業務とは全く違う仕事も多く、慣れるまでには苦労するでしょう。
社内SEを辞めやすい人には特徴がある?
社内SEはITエンジニアの中でも特別な役割を担っていることから、IT技術に精通していたとしても必ずしも優秀な社内SEというわけではありません。
ここでは社内SEに向かない、辞めやすい人について、趣向や性格などといった内面的な観点からの特徴を5つご紹介します。
- 特徴1. コミュニケーションが苦手な人
- 特徴2, 1つの仕事だけに集中したい人
- 特徴3, いろいろな環境で働きたい人
- 特徴4. プログラミングなど特定の技術が好きな人
- 特徴5. そもそもIT技術に興味がない人
特徴1. コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが苦手でそれにストレスを感じる人は、社内SEを辞めやすいでしょう。
なぜならば、社内SEの仕事はIT企業に勤務するSEと比べて他部署との折衝が多く、調整も必要なため、高いコミュニケーション能力が求められているからです。
例えば、一般のユーザーに対しては、誰にでも分かるようにシステムの話を行う必要があります。
その一方で、実際の開発者やベンダーとは専門用語でコミュニケーションしながら、管理業務を進めます。
このようなコミュニケーションを通じて社内で調整することが苦手な人にとっては、ITエンジニアの中でもプログラマー等の方が向いています。
特徴2. 1つの仕事だけに集中したい人
ひとりでパソコンに向かって黙々と作業をするのが好きな人だと、社内SEのやりがいをあまり感じられないでしょう。
なぜならば、社内SEはITエンジニアの中でも担当する業務の範囲が広く、複数のことを同時並行で行うことも多く発生するからです。
自分の業務に集中して取り組みたいときでも、システム障害や社員からの問い合わせがあれば優先して対応せざるをえないこともあります。
例えば、単純にプログラミングだけしたい人、あるいは要件定義だけしたい人はストレスを感じてしまいます。
特徴3. いろいろな環境で働きたい人
いろいろな職場、環境で働きたい人も、ストレスを感じて辞めることがあります。
社内SEは基本的に同じ部署で働くことになり、専門職であることから、そのメンバーも大きく変わる機会は少なくなります。
所属している職場環境での人間関係や雰囲気が悪くても、それを変えることはできません。
顧客先も含めて、様々な環境で働くことに刺激を感じてやりがいを感じる人であれば、社内SEではなくSESやSIerが向いていると言えます。
特徴4. プログラミングなど特定の技術が好きな人
プログラミングが好きでそれを極めたいと考えている人は社内SEから転職する可能性があります。
なぜならば、社内SEは社内のシステムについての業務を幅広く、まんべんなく担うことから、プログラミング以外の仕事が多いからです。
会社によってはプログラミングの機会もありますが、社内SEとしてメインの仕事になることはないでしょう。
同じ理由で、ITの中でも特定の分野だけに興味がある人も、社内SEよりもSIerでのシステムエンジニアに転身しやすいです。
特徴5. そもそもIT技術に興味がない人
そもそもIT技術に興味のない人も、社内SEを辞めるかもしれません。
社内SEは社内におけるITの専門家として業務・知見を期待されていますが、興味がない事に関わることにストレスを感じると辞めることになります。
特に、理系に進んだことだけが理由でなんとなくITエンジニアになったという人であれば、社内SEとしての業務はやりがいにはつながらず、転職を考えるようになる人もいます。
そこで、社内SEの仕事は楽なのかどうかについても別のページで解説していますので、併せてチェックしてみてくださいね。
社内SEからの転職先とは。退職者はどこへ転職している?
続いて、社内SEが転職するとしたら、どのような職種が転職先の候補になるのか、あるいは全く違う職種へ転職できるのかについて記していきます。
転職先1. 社内SEとして別の会社に転職
社内SEとしてのもっとも一般的なキャリアパスは、同じ社内SEとして他社へ転職することです。
特に「会社の方針に同意できない、社風が合わない、上司が嫌い」といったことが理由での退職であれば、転職することによって解決する可能性は高くなります。
そして、社内SEから社内SEへの転職であれば、その仕事内容も基本的には同じであることから、異業種に転職しても苦労することは比較的ないでしょう。
ただし、転職する企業の業界や会社規模によっては担当する業務や求められるスキルが異なる場合もありますので、どのような業務に携わりたいのかについては明確にした上で転職活動を進める必要があります。
転職先2. Slerに転職
社内SEとしてキャリアアップしたい人の中には、SIerへの転職者も多くいます。
ITの中でもある特定の分野に精通しているのであれば、それを専門とした職種にキャリアチェンジするということです。
SIerは様々な企業のITシステムの開発を行うため、IT技術の知識をもったSEを数多く必要としており、スキルがあれば転職しやすい職種です。
例えば、「社内SEになったけど、今後はプログラミング能力を極めたい」といった方には、適した転職先であるといえます。
ただし、SIerという職種であればユーザーは顧客になるわけですから、そのプレッシャーを受けやすく、自分のペースで仕事がしづらくなるといったこともありますので注意が必要です。
転職先3. ITコンサルタントに転職
ITコンサルタントも、社内SEからの転職先としてはよくあるケースです。
ITコンサルタントは、顧客である企業が抱えている課題に対して、ITを活用しての解決策を提案することが仕事です。
そのためには、経営戦略やIT戦略、基幹業務などの知識と提案スキル、要件定義スキルなどが必要になります。
しかし、社内SEでの経験を積み重ねることで、物事を分析的に見て企業の経営課題を解決するスキルと高いコミュニケーションスキルに長けているのであれば、最適な転職先と言えます。
転職先4. 未経験の職種への転職はできるのか?
社内SEからの転職を考えている人の中には「ITを専門とする仕事が合っていなかった」「まったく別の仕事をしたい」といったことから、ITエンジニアという仕事から完全に離れる人もいます。
ただし、未経験の仕事の場合でも社内SEとして培ってきたスキルを活かせるような職種を選ぶと良いでしょう。
社内SEとしてある程度の実績をあげてきた人は、ITについての知識が豊富なだけではなく、「携わってきた業務に関する知識」「高いコミュニケーション能力」「プロジェクトリード」といったスキルを身につけているはずです。
転職先としては、こういったスキルを活かすことができるような仕事を考えましょう。
社内SEから転職する前に考えておくべき重要ポイント
次に「転職活動を始めるにあたって、注意しておくこと、事前に考えておくこと」について記します。
1. 転職の目的は明確なのか?
転職活動を始めるにあたって最も考えるべきことは、「転職の目的は明確に定まっているのか?」ということです。
特に、将来のビジョンや目標がないのに、曖昧な理由で転職を考えないようにしましょう。
転職活動においても、なぜその企業を選んだのか、そこでどう成長したいのか、自分だけでなく、志望する企業にも理解してもらえる明確な理由が必要です。
2. 転職すること以外では解決できないのか?
将来に対してのビジョンや目的が定まったとしたら、転職を決意する前に「転職すること以外では解決できないのか?」について考えましょう。
仕事での問題を自分自身の努力で解決できるのに、安易に転職をしてしまうとあとで後悔してしまうことがあります。
また、転職活動での面接の中でも、前職の退職理由は、志望動機と並んで重要なトピックの一つであり、具体的で、誰もが納得できるような内容を考える必要があります。
単に「会社の方針が合わなかった」「キャリアアップをしたくて」「やりたいことと違った」などでは、具体的にどのような点が企業方針と合わなかったのか、どのような風にキャリアアップをしたいのか、何がやりたいことと違ったのかについて深く追求されます。
3. 現実を理解できているのか?
転職を進める前には、「現実を直視して理解できるのか?」についても考える必要があります。
ここでの現実とは、「会社の状況とそこで期待されていること」と「自分自身の市場価値」です。
先ずは、会社の状況について理解しているでしょうか。
会社はたくさんの人が関わっている組織ですから、100%自分自身の思いどおりにはなりません。
そこで逃げるように転職しても、また同じように会社のせいにして転職を繰り返すことになる可能性があります。
また、「自分自身の市場価値」については理解しているでしょうか。
一般的に転職者には、第二新卒でもない限りは即戦力が求められます。
いくらやりたいことがあったとしてもそれに見合う能力が伴わなっていなければ、企業側としても採用することは難しいのです。
まとめ
現在は、社内SEに限らず転職が認知されている環境であり、転職すること自体がマイナスと捉えられるようなことは少なくなっています。
そして社内SEも、転職することで以前の職場で身に付けたスキルを活かして活躍する人もいます。
しかし、転職は多大な時間と労力を必要とするものであり、自分の将来を大きく左右する出来事でもあることから、後悔することがないように真剣に考えて判断するようにしましょう。
ただし、転職活動を行うことは自分の市場価値を知る上では良い機会と言えます。
例えば、転職エージェントを利用して転職活動をする場合は面談の後に担当者が利用者の市場価値にあった企業を紹介してくれます。
たとえ転職に至らなくても、自分の市場価値を知っておくということは今後のスキル向上へのモチベーションとなり、自分の市場価値をより向上させるきっかけにもなるでしょう。
SEが後悔せずに転職するために覚えておきたいこと
SEがエンジニア職としての転職を後悔しないために、いくつか覚えておいて欲しいことがあります。
それは以下の3つのポイントです。
- SI業界(Sier企業)は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
- SI業界は年功序列が根強く、評価が良くても大きく年収が上がることはない
- 転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを利用する
1.SI業界は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
SI業界はDXの追い風を受けて業績好調と思いきや、実際のところは企業淘汰が始まっています。
足元の状況を見ても官公庁にまでクラウドが普及しているのが現実で、オンプレのシステムはどんどん減らされています。
例えば富士通を始めとして早くからクラウドに取り組んでいた企業は生き残れそうですが、従来の技術しか持たない会社は利益の出る仕事を既に取れなくなってきています。
まさに2極化といって差し支えない状況が生まれています。
大手だから安心ということは全くなく、クラウド、更にその先のITの進歩や、移り変わりが激しいトレンドにフィットしていける企業を選べているかがミソということです。
2.SI業界は年功序列が根強い。評価が良くても大きく年収が上がることはない
SI業界の給与体系が「年功序列」であることは、多くのエンジニア社員にとってモチベーションが下がる事実です。
基本的にはクライアントありきの仕事内容ですから、競合他社と変わらない仕事をしているのに全然給料が違うということはザラにあります。
安易な転職はおすすめできませんが、結局のところ給料を上げるには「今より給料テーブルが高い企業に転職する」というのが最も近道です。
高評価で頑張ってるのに年10万すら上がらないというのはよくあることですが、転職したら同じような仕事なのに年70万も給料が上がったというのもよくあることです。
3.転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを選ぶ
エンジニアの仕事を詳しく知らないエージェントは選んではいけません。
- もっと経験が活かせる企業があったはずの人が、「とりあえず経験者がほしい」という程度の企業ばかり紹介された
- もっと高待遇で転職できたはずの人が、PRの仕方を知らないがためにそこまで給料を上げられなかった
ITエンジニアは引っ張りだこですので、転職するだけなら簡単に転職できます。
せっかく転職するなら、自分の経験を必要として高待遇で迎え入れたいという企業に選んで欲しいと思いませんか?
安易に「どこかで聞いたことがある転職エージェント」を使ってしまうと安売りされてしまう原因になります。
人材業界にはエンジニアの仕事のことをよく理解していて、顧客・求職者双方を上手くマッチさせてくれるエージェントも存在します。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを選ぶことは、転職での失敗を避ける基本だと覚えておきましょう。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェント
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを使うことは、2つのメリットがあります。
- これまでの経験を活かすことができ、転職後に必要とされる企業を見つけられる
- 年収を始め、自分を採用するために好条件を出してくれる企業を見つけられる
エンジニアにとっては転職で売り手市場な時期なので、せっかくなら好条件を出すと言ってくれる企業に転職したいですよね。
そのためにはエンジニアの仕事に詳しく、企業が求める人物像や背景を理解でき、求職者の能力を正確に把握してくれるエージェントが必要です。
技術面に詳しく、求職者へも親身に対応してくれる転職エージェントとしては以下の2社が挙げられます。
1.レバテックキャリア

IT分野の皆さんは、まず第一選択として「レバテックキャリア」は登録するということで問題ないでしょう。
特に、年収アップとスキルアップを目的とした転職においては、豊富な知見をもとに強力な力になってくれるはずです。
年収アップした求職者が7割を超えているということで、30〜40歳ごろの「転職で失敗できない重要タイミング」の方にも多く選ばれています。
もちろん、エンジニア経験者であれば20代も歓迎されます。
- ITエンジニア経験者の転職支援に特化した専門エージェント
- 保有求人7000件以上のうち、8割以上が年収600万円以上の求人(登録者の77%が年収アップを達成した高実績がある)
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※サービス対象エリアは、関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)/関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)/九州(福岡)/東海(愛知)
※レバテックキャリアではエンジニア未経験者の求人は取り扱っていないのでご注意ください。
レバテックキャリア 公式サイト:
レバテックキャリアの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。
2.マイナビITエージェント

新卒採用で有名な「マイナビ」ですが、実はITエンジニアの転職に特化したサービスを展開しています。
全国区のエージェントだからこその案件数・カバー率に加え、エンジニアの仕事やトレンドに詳しいというバランスの良さがポイントです。
転職サポートに登録して最初の面談では、「あれもこれも紹介されても納得感がないと思うので、本当にマッチしている企業を10社だけ紹介させてください」という分かりやすいスタンスで接してくれるのも魅力です。
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マイナビITエージェント公式サイト:
マイナビITエージェントの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。