機械系

機構設計とは?仕事内容・資格・キャリアプラン・必要なスキル

機械設計エンジニアの主な仕事内容

”機械設計エンジニア”という職業は非常に広範で多彩な仕事内容を含んでいます。その役割は、革新的な製品やシステムの設計から始まり、試験、評価、そして最適な生産プロセスの設計まで、幅広く及んでいます。

それら全ての要素が一体となって、機械設計エンジニアの仕事が形成されるのです。ここでは、その主要な役割について詳しく見ていきましょう。

1.製品の設計

機械設計エンジニアの最も核となる業務は「設計」です。ここでの設計とは、製品やシステムが特定の機能要件を満たすように、そして規定された安全基準をクリアするように設計図を作成することを指します。

これには、CAD(Computer-Aided Design)と呼ばれるソフトウェアを使用し、設計図をデジタルで作成します。

設計エンジニアは物理的な制約、コスト、製造可能性、そして顧客の要求を考慮しながら、製品設計を作り上げます。具体的には、機械部品のサイズ、形状、材料、耐久性などを決定します。

CADでの設計図作成は作図とも呼ばれ、機械設計エンジニアからの依頼を受けた「CADオペレーター」と呼ばれる立場の担当者が行うこともあります。

2.評価と改善

製品の設計が終わった後は「評価と改善」のフェーズに移ります。これは、設計した製品が実際に設計通りの性能を発揮するか、設計した特性を持つかを試験によって確認する工程です。

ここで問題が発見された場合、その原因を特定し、設計を改良します。評価と改善の工程には、各種の物理的試験やシミュレーション、または実際の使用環境でのテストが含まれます。

企業や部門によっては、評価試験のみを担当する「テストエンジニア」が担当することもあります。比較的小規模なメーカーでは設計とテストを兼務するものですが、大手メーカーやその一次サプライヤでは部門ごと分かれる傾向があります。

3.生産プロセスの設計

さらに、機械設計エンジニアは製品の設計だけでなく、製造プロセスの設計も行います。

これは、生産コストを最小限に抑えつつ、製品の品質を確保するための最適な生産プロセスを設計することを意味します。製品の生産プロセス設計では、製造装置の選定、部品の組み立て手順、製造ラインのレイアウトなど、様々な要素を考慮する必要があります。

生産プロセスの設計は「生産技術」とも呼ばれ、テスト工程と同様に大企業では生産技術専門のエンジニアが担当する傾向があります。

機械設計エンジニアの仕事のやりがいとは?

機械設計エンジニアとして働くことは、単なる仕事以上のやりがいを感じさせてくれるものです。このやりがいは他の職種では味わえないような「実感」を伴うやりがいであり、普段の生活の中でも感じられるものでしょう。

それは、あなたのアイデアが現実の製品やシステムになり、それが社会に広く利用され、人々の生活を改善する可能性を秘めているからです。その一方で、日々の仕事は複雑な問題解決の連続であり、高度な専門知識と技術を必要とします。

また、自身の業務が社会全体に対する直接的な貢献をもたらすことに、大きなやりがいを感じるでしょう。ここでは、その主要なやりがいについて詳しく見ていきましょう。

1.イノベーションの創出

機械設計エンジニアとして働く一番の魅力は、新しい技術の開発や既存技術の改善によって、産業の進歩に直接貢献できることでしょう。

自分の設計が製品化され、市場に出て、さらには人々の生活を向上させるという事実は大きなやりがいとなります。また、それは同時に、自身が業界のトレンドを作り、新たな技術革新に寄与しているという実感をもたらします。

2.問題解決の経験

機械設計エンジニアの仕事は、日々複雑な問題を解決するための挑戦の連続です。各製品の設計や製造プロセスの改善にあたり、様々な制約や課題が立ちはだかります。

その課題を解決し、製品を完成させる過程で、エンジニアとしてのスキルを磨き、自身の能力を高めることができます。

3.社会貢献

機械設計エンジニアとしての仕事は、社会全体に対する貢献でもあります。

設計した製品が人々の生活を便利にしたり、産業の効率化を実現したりすることで、社会全体の生活の質を向上させることができます。

例えば、医療機器の設計を担当するエンジニアは、より効率的な診断や治療方法を可能にする新しいデバイスを開発します。これにより、医療の現場での作業効率が向上し、患者の治療結果が改善される可能性があります。

また昨今の世の中で言えば、環境に配慮した製品設計も一つの重要な社会貢献です。エネルギー消費を抑えるための新しい設計や、リサイクル可能な材料を使用した製品の開発などを通じて、地球環境の保護に貢献することが可能です。

このように機械設計エンジニアの仕事は直接的に社会の利益を追求するものであり、その社会貢献性は非常に高いと言えます。

機械設計エンジニアの仕事の厳しい点とは?

機械設計エンジニアの仕事には大きな魅力がありますが、一方でその仕事は多大な責任と厳しさを伴っています。

専門的な知識と技術を維持し進化させるためには、絶えず新しい情報を追求し学ぶ必要があります。また、自身の設計が製品の性能や安全性に大きな影響を及ぼすため、その責任は重大です。

さらに、厳しいデッドライン、つまり納期と複数のプロジェクトを同時に進行させるという仕事の性質からくるプレッシャーも、この仕事の厳しさの一因となっています。

ここでは、機械設計エンジニア自身がよく嘆いている”仕事の厳しさ”について詳しく見ていきましょう。

1.高い専門性が求められる

機械設計エンジニアの仕事は、高度な専門知識と技術スキルを必要とします。それは、新製品の設計、製造プロセスの改善、試験と評価、など幅広い領域で高い専門性が求められます。

さらに、テクノロジーの急速な進歩に対応するためには、新しい技術や知識を絶えず学び続ける必要があります。このため、自己啓発や継続的な学習が求められる一方で、それがプレッシャーともなります。

大学の勉強でも相当やってきたはずなのに、いざ企業で働き出すと製品特有の知識も必要になり、「こんなにわかってない状態で製品の設計をしていて、本当に大丈夫だろうか」と不安になることもしばしば。

このプレッシャーとは一生付き合っていかなければならないことでしょう。

2.プレッシャーと責任

設計エラーは製品の性能や安全性に大きな影響を及ぼす可能性があります。そのため、設計エンジニアは常に高い精度と注意力を持つことが求められます。

また、自分の設計が製品の品質に直接影響を与えるため、その責任は非常に大きいです。

3.プロジェクトのデッドライン=納期

製品開発には通常、厳しいスケジュールとデッドライン、つまり納期との闘いがあります。

そのため、時間管理と優先順位付けのスキルが求められる上に、複数のプロジェクトを同時に進行させることが多いため、プロジェクト管理の能力も重要となります。

具体的なケースとしては、例えばあなたが自動車の新型エンジンの設計を担当する機械設計エンジニアだとしましょう。

その開発プロジェクトでは、新型車の発売日が1年後に決定しているとします。そして、その新型車の魅力的な特徴として、新型エンジンの開発が予定されています。このエンジンの設計と試作、そしてテストと改良、最終的な生産準備までを、新型車の発売日に間に合わせる必要があります。

このような場合、エンジニアは複数の要素を同時に考慮しながら設計を進める必要があります。それはエンジンの設計で言えば、性能や信頼性、コスト、そして製造可能性などです。さらに、設計変更や未予想の問題が発生した場合でも、全体のスケジュールを守るために、迅速な対応と問題解決が求められます。

構造設計と機構設計って何が違うの?

機械設計エンジニアの仕事と言えば、”構造設計”と”機構設計”が重要な要素となります。これらは似て非なるもので、異なる目的とプロセスを持っています。

まず構造設計とは、物理的な強度や剛性、安全性を確保することを目的とした設計プロセスです。

例えば、橋やビル、自動車のボディ、飛行機の翼などの強度と耐久性を確保するための設計がこれに当たります。これらの設計では、材料の特性、荷重条件、安全係数などを考慮して、適切な寸法と形状を決定します。

一方、機構設計とは、機械や装置が所望の動作を達成するために必要な動きや機能を設計するプロセスです。

例えば、自動車のエンジンやトランスミッション、ロボットの関節、印刷機の紙送り機構などがこれに該当します。機構設計では、目的とする動作や機能を達成するための各部品の配置や形状、連結方法などを設計します。

構造設計と機構設計は、それぞれ異なる観点から製品の設計を行いますが、多くの場合、これらは密接に関連し合っています。例えば、自動車の設計では、エンジンの機構設計とともに、それを搭載するシャシーの構造設計が必要となります。

機械設計と「製図」は何がどう違うの?

機械設計と製図は、どちらも製品開発プロセスの異なるフェーズに関与する重要な要素です。

まず機械設計は、製品やシステムの機能と性能を考慮して、その概念を形にするプロセスです。それに対して、製図はその設計を詳細な図面に変換し、製造段階で参照される具体的な指示を提供するプロセスです。

具体的には、機械設計エンジニアは製品の目的と要求を理解し、それを達成するための最適な設計を考え出します。これには、材料の選択、部品の配置、性能の予測など、広範な技術的知識と創造性が求められます。

一方、製図技術者は、設計エンジニアが考え出した設計を具体的な図面に変換します。この図面は、部品の寸法、形状、位置、材料など、製造に必要な詳細な情報を含みます。

製図は、製造者が設計の意図を理解し、正確に製品を製造できるようにするための重要なステップであると言えます。