機械設計エンジニアはやりがいや達成感が大きい一方、特有のきつさがある職種です。
納期に追われての休日出勤や深夜までの残業、それにクライアントからの突発の仕様変更など、理由は様々です。
機械設計エンジニアとして働く以上、慣れていかなければならないところではありますが、このきつさとどう折り合いをつけていくべきかお話ししていきたいと思います。
機械設計を15年、転職を挟みながら続けてきた私個人の意見で恐縮ですが、よかったら参考にしてみてください。
既にエンジニアとして転職を検討中であれば、先に注意してほしいことがあります。
それは、「CMやWeb広告でよく知られた大手転職エージェントに登録してはいけない」ということです。
某R社やD社など本当に知名度が高く信用できそうに思いますよね。しかし大手エージェントにサポート登録しても、エンジニアであるあなたの転職相談を担当してくれるのは、なぜか文系出身・エンジニア未経験のアドバイザーが大半なのです。
今あなたが担当している職務や悩みは、文系出身でエンジニアの仕事に詳しくない人に伝わるでしょうか?答えはNOです。
話し上手なアドバイザーにマッチしてるか分からない転職案件を紹介され、「こんなものか」と感じながら後に引けずに転職活動を進めてしまう、、、のがオチです。
ですので、今すぐ転職活動を始めるつもりなのであれば、エンジニアやメーカー転職を専門とするエージェントを選んでください。あるいは、大手エージェントの中でも”職種ごとにアドバイザーが分担されているエージェント”でも良いでしょう。
▼機電系エンジニア&製造業の転職に詳しいエージェント例
・メイテックネクスト
・タイズ
・JACリクルートメント
◆『メイテックネクスト』製造業・メーカーへの転職を専門

- 製造業・メーカー企業への転職サポートが専門
- 機械電気・組み込み分野の求人案件は特に強い。総合型エージェントが注力できていない中小規模のベンダーもカバーしている。
- 大手エージェントと比較して、親身で丁寧なアドバイザーが多い。求職者の転職活動ペースを尊重してくれる傾向。
機械設計エンジニアはきついと感じる5つのポイント
一般的に機械設計エンジニアの仕事はきついと言われますが、これにはいくつかの理由があります。
機械設計に限らずエンジニアの宿命と思われるものから、機械設計エンジニアならではの理由までバラエティが豊富です。
実際には複合的な理由が多いのですが、分解すると概ね以下の理由になります。

1.覚えなければいけない知識が多すぎる
機械設計エンジニアは、他の機械系と比べても覚えるべき知識量が多いです。
大学卒業後もずっと勉強続き、、、という働き方にきつさを感じてしまうのです!
機械設計エンジニアに必要な代表的な知識には、以下のようなものがあります。
- 材料力学
- 機械力学
- 流体力学
- 熱力学
- ねじやベアリングといった機械要素の知識
- 設計規格・基準
- 設計ツールの使い方
4力と呼ばれる材料力学などの知識だけでなく、他にも多くの知見が必要だとわかるはずです。
上記は一例なので、実際に求められる知識はこれだけではありません。
とくに新入社員などの経験が浅い頃は、覚えるべき内容の多さに絶望しきつさを感じてしまうのではないでしょうか?

2.ネットに情報が少ないので調べても分からない
基礎的な設計方法や気をつけるべきポイントはネットで調べれば出てきますが、いわゆる「ノウハウ」的な情報がネット上に少ないのが機械設計分野の特徴です。
ITエンジニアはネットで発信することが一般的なことになっており、noteやSNSで誰しもがノウハウ的な部分や、どう乗り越えたかの経験談を発信されています。
ですが、そういった発信をする習慣は、機械設計エンジニアにはあまり無いのだと思います。
例えばCADを使った効率的な設計手法のようなノウハウは、その人個人からしかなかなか手に入りません。
私達が求めているのはまさにノウハウ部分なので、調べても調べても見つからず自分の頭で導き出すしかないきつさに襲われるのです。
3.担当業務の幅・量ともに多すぎる
みなさんも振り返ってみて欲しいのですが、純粋に設計と製図だけやれれば楽なんだけどな~なんて思うことはありませんか?
機械設計エンジニアはやるべき業務の幅が広く、実はミーティングばかりという会社も少なくありません。
「会議ばかりで自分の仕事ができない!」
「無意味な会議が多すぎる!そもそも自分って参加する必要あったの!?」
こう文句を言いたい気持ちはよく分かります。
4.短納期な仕事に追われる
「社長!ウチのサイトに短納期対応って書くのやめてください!」
そういう声も聞こえてきそうです。機械設計エンジニアの辛さは短納期な仕事に追われることでしょう。
担当する人員不足、度重なる仕様変更、自社にとっての新技術の活用など、様々な理由で短納期に苦しみます。
でも実のところ、機械設計エンジニアの短納期レベルは、零細SIerのSEと比べるとまだマシかも知れません。
一方でそもそも激務が続いていて、勉強時間を確保するどころか体を休めることすらままならないというエンジニアがいるのも事実です。
この場合、本当に必要なのは勉強することではなく、この激務をどう考え、何をするか?ということです。
企業体質による激務は別の問題なので、詳しくは以下のページも読んでみてください。

5.縦社会な雰囲気でダメだしがきつい
機械設計エンジニアは縦社会、本当にその通りです。
あらゆるエンジニア職の中でも、間違いなく体育会系です。
機械設計に限らず、生産技術や品質管理も似た雰囲気があるので、機械系はみんなそうなのでしょう。
先輩・上司からのパワフルなダメ出しに対する精神的タフさがないと本当に辛い世界、それが機械設計エンジニアです。
私が自社の新卒採用で面接官をしていたときには、「短期間で辞めないタフさがあるか?」という項目がありましたが、これは縦社会によるところが大きかったと思います。
仕事のきつさにどう対処し乗り越えるか?
仕事がきついきついと嘆いても仕方ありません、少しずつでも対処していくには何をすべきか?
私の経験則から思うに次の4点が対処の重要ポイントだと考えています。

1.覚悟を決めてコツコツ勉強する
大学で勉強をサボってきた人は、まず勉強から入りましょう。結局は勉強こそが一番最短経路です。
まずは製図とCADでの2D作図から入り、続いて四力を教科書からでいいのでコツコツ毎日勉強してください。
まずここまでやるだけでも今までより仕事が進められるようになる部分があるはずです。
その後は必要に応じて材料や加工の知識を身に着けていくとよいでしょう。
教科書捨てちゃったよという方はこちらのサイトで勉強するのがおすすめです。

また、業務内でしか身に着けられないねじやベアリングといった部品の知識は身につけるためには、モノタロウの商品豆知識ページがとても役立ちます。
2.遠慮せず質問する。嫌な顔をされても質問する。
先輩や上司に質問するのが苦手な人は、エンジニアとして働くのが3倍きついと思います。
とは言え、エンジニア職の方は引っ込み思案な性格の人が多いのも事実です。
どこの業界でもそうではあるのですが、機械設計は担当範囲が非常に幅広いので最初はチンプンカンプンな状態でしょう。
みんな忙しそうにしてるのにどう質問したらいいのか、特に優秀な先輩・上司はそもそも席にいないこともしばしばあるはずです。
「僕みたいなお荷物が質問なんかできる時間あるんだろうか。自分でなんとかしなきゃ。」
そう気後れしてしまうところですが、「質問も仕事のうち」です。
質問することは悪ではありません。質問しないことこそ悪です。
仮に先輩の機嫌が悪く、質問してキレられたとしても、質問したことは絶対悪くありません。
どうせ質問せず時間切れになっても怒られるのだから、今質問したほうがいいと心に刻み込んでください。
3.本気でタスク管理に挑戦する
忙しさにかまけて、思いついた順に仕事していませんか?
タスク管理スキルは可視化しづらく、評価対象にもなりにくいですが、あなたの心を楽にしてくれる重要なスキルです。
特に、数年働いてきてある程度複雑なプロジェクトを担当するようになると、タスクという細かい単位で分解しないと全体像や作業内容自体が見えてこなくなります。
まずはTODOレベルの管理を紙や付箋で地道に始めてみてもいいでしょう。
ですが本気でやるなら、アプリやシステムを活用して「なるべく自分の頭を使わない、自分の頭で覚えておかない」ような仕組みにしていくべきです。
仕事中にスマホで管理するのもアレなので、例えばGoogle ToDoリストを使ったタスク管理は無料ですしおすすめです。
参考記事:もう先延ばしにしない!「Google ToDo リスト」を使ったタスク管理術 | 株式会社LIG(リグ)
4.会議、タスクを早く終わらせる時短術を身につける
無駄なミーティングを少しでも早く終わらせる時短術というものが世の中にはあります。
自分の立場によってできる時短術は違うので、できることからチャレンジしてみましょう。
例えば若手の間にできる時短術の一つとして「議事録を会議中に完成させる」という非常に有効な手段があります。
会議の資料と一緒に、議事録が記載されたOneNoteなどのデジタルノートを共有し、その場で取ったメモをリアルタイムで参加者に見せていくのです。
オンライン会議であれば、各アジェンダの趣旨をチャットに投稿し、認識違いがあればその場で修正していくのは良い手段です。積極性もアピールでき一石二鳥になるでしょう。
こうして即座に議事録を見せることで確認作業も会議中に終わり、恣意的な修正を防ぐこともできます。
まとめ:機械設計の仕事は乗り越えるまでがきついだけ
機械設計の仕事は慣れで乗り越えるまでがきついでしょうけど、その後は徐々に楽になってきます。
楽しい思いができるようになるのはそこからなので、努力でカバーできる範囲はやってみましょう。
ただ、質問さえさせてくれず、なじられるだけの会社は居続ける理由もないので、さっさと辞めてしまっていいです。
一緒に楽しい機械設計エンジニアライフを送りましょう!