機械系

生産技術エンジニアの転職についてのアドバイス

生産技術エンジニアの現状
管理人
管理人
元・派遣エンジニアで、現在はエンジニア向けのキャリアアドバイザーをしています、管理人・たいらです。

モノづくりエンジニアと一口に言っても様々な職種がありますが、その中でも「製品の実物」に触れられる機会が特に多いのが生産技術エンジニアです。

突然ですが、

日本製品は品質が高い・故障が少ないと言われる背景には

生産技術エンジニア」の活躍が大きいと私は思っています。

この記事では、なぜかあまり語られることのない生産技術エンジニアの転職事情について説明するとともに、

よりキャリアアップを目指していくにはどのような転職をすべきなのかをお伝えしていきます!

中途採用において、引く手数多の「生産技術エンジニア」

端的に言って、生産技術エンジニアは中途採用では引っ張りだこの状況が続いています。

今もし何かのきっかけで転職を決断されるのであれば、いいタイミングと言えるでしょう。

好景気さまさまと言ったところで、求人をかけている企業数・部署、採用人数枠と言った募集総数は右肩上がりの状況であり、「転職希望者数に対して募集数(需要)が多すぎる」と言ったところです。

これに伴い、募集をかけている企業の中には、今までよりもハードルを下げて受け入れたり、多少経験にミスマッチがあっても目をつぶるというような判断もされています。

なぜこんなに募集数が増えているのかと言うと、ユーザーニーズの多様化によって多種少量生産や低コスト・製品サイクルの短縮化といった対応が求められていることが大きな理由です。

更に、生産技術エンジニアが活躍する「製造工場」に大きな技術革新の波が訪れていることも要因の一つです。

製造工場への「IoT技術」の導入のために、更に多くの人材が必要とされている。

「IoT」と言う言葉自体は、エンジニアの皆さんであればお聞きになったことがあるかと思います。

「モノのインターネット」などと呼ばれていますが、工場への導入という観点では2011年にドイツが国家として「インダストリー4.0」という概念・施策を推進すると発表されたことを皮切りに世界中で議論が過熱しています。

これまで製造工場ごとで共有されていなかった各生産ラインの稼働状況やエラーの頻度など、表面に出ない隠れたIoTデータを見える化し、不慮のストップや段取り替えに素早く対処できるようになる、というようなメリットが一番分かりやすいでしょうか。

管理人
管理人
単に「インターネットで繋ぐ」だけなら簡単なことですが、

「取得した大規模なデータを、どう読み解くか?何に生かすのか?」と言った点は、統計学的な知識や、一製造ラインの設計に留まらないクリエイティブが必要とされます。

結果として中途採用の募集拡大が引き起こされているということですね。

無論、これは生産技術エンジニアの中でも「新しい仕事」に該当し、少数派です。

従来の生産技術エンジニアの仕事の方が特に多く増加していますので、保守派なあなたもご安心ください。

生産技術エンジニアから「設計エンジニア」に転向したがっている層が一定数いる。

好景気を背景に生産技術エンジニアの需要・募集枠は拡大する方向にありますが、

一方で現職・生産技術エンジニアの中には「生産技術を辞めて、設計職に移りたい」という層が常に一定数います。

生産技術エンジニアを辞めたい理由と転職難易度とは?設計と比較。 「メーカー企業やエンジニア派遣会社に新卒で入社、これから設計士としてバリバリ働くぞ!」 と思ったら、なんと配属部署は生産技...

モノを創り出す側の設計エンジニアと、それを実現させる側の生産技術エンジニア。

立場の違いは実業務内でも苦悩の原因になったり、設計の方がいいと思うようになるきっかけになることもあります。

こう言った背景も生産技術エンジニアの需要増加に一役買っているのかもしれません。

管理人
管理人
一方で設計エンジニアの中には、「自分の設計したものが実物ではどんな形になっているのかよく分かっていない。見たことすらない。」と言う方もいます。

それが面白くないと言う意見は設計エンジニアからも結構聞きますから、おあいこかもしれません。

食いっぱぐれない生産技術エンジニアになるための転職キャリアアップ論。

生産技術エンジニアのキャリアアップ論

生産技術エンジニアとして食いっぱぐれない、つまりどこでも通用する、適応していけるようキャリアアップしていくには、転職でどのような観点に着目すれば良いのでしょうか?

1.生産技術エンジニアの転職では「対応できる範囲」を広げよう。

生産技術、生産準備という仕事は「担当する工程」や「対象となる製品の大きさ、材料」によって、必要となるスキルや考え方が大きく異なります。

この背景がある中、あちこちから重宝される生産技術エンジニアというのは「カバーできる範囲が広い」という特徴があります。

例えば、「樹脂筐体パーツの組み立て工程のライン設計しかやったことがない」という人よりは、

他工程である「樹脂成形工程の成形条件決め」であったり、ラインの流れをプログラミングする「シーケンス制御」なんかの経験もある方がいいということです。

一つの仕事を極めるというのはカッコよさそうに思えますが、例えば転職活動で本当にピンポイントでハマる募集に巡り合えるかどうかというと疑問符が残ります。

もし自社内を見回してみて、経験や習得スキルの広がりがあるかどうか自信が持てない場合は要注意です。

上記のことを念頭に置いて、転職活動では「同じような工程・業務内容」で転職するより、「対応できる範囲が広がる可能性が高い」募集を狙って行った方が、将来まで重宝されやすいエンジニアになれるだろうというのが私の考えです。

これからの生産技術エンジニアが身につけるべきスキルは?

奥深い話になるので難しいところですが、これからの生産技術エンジニアが付加価値として身につけるべきは、以下の二つかなと思います。

1.センシングに関する技術知識、活用方法

実際に製造ライン上で起きているトラブルを感知したり、今より効率化や自動化を進めるためにはセンシングに関する技術知識が必要となります。

自分自身がセンサーをセッティングしたり、プログラムを書くことは稀かもしれませんが、これらのセンシング技術を専業としている会社と上手く付き合い、活用していくためには自分自身も知識を身につける必要があるでしょう。

2.設備の稼働状況データなどを読み解くための統計学

一般的な生産技術エンジニアであれば、良品判定や歩留まり向上のために統計的な知識は活用しているかと思います。

今後、製造工場(ライン)のIoT化が進むほどに、意味があるのかないのか分からないようなデータだけが大量に取得されているという状況が起こり得ます。

これらを読み解き、「〇〇だから同じ問題が別工場でも起きるだろう。」という風に傾向を見極めるためには、やはり同様に統計学の知識が必要となってきます。

やっぱり外国語ができると有利。

生産技術エンジニアであれば避けては通れないと思うのですが、英語・中国語ができるというのは転職においても有利です。

日本メーカーにおいては多くの場合、日本がマザー工場であり、ここで生み出された新ラインを世界中に展開していく使命があります。

海外工場は日本ほど製造全般にわたる能力が低いことが多く、トラブルで連絡してくることはしょっちゅうあるのです。

生産技術エンジニアの転職活動(書類、面接等)におけるアドバイス。

実際に生産技術エンジニアが転職活動を行なっていくにあたっては、いくつか抑えておきたいポイントがあります。

1.履歴書に記載する業務内容は ”非技術系の人にも分かりやすく、シンプルに”。

生産技術の仕事というのは、会社ごとに立場、風習、やっていることが大きく異なりますので、厳密に書きすぎると書類選考を担当する人事部(=非技術系)の人に伝わらないことがあります。

非技術系の人というのは「生産技術の経験者か、そうでないか」「加工工程なのか、組み立て工程なのか」「CADも使えるか」とかそんな次元でしか理解ができません。

ですので、極力シンプルに書きましょう。

色々とこだわりポイントはあると思いますが、それは優先ではありません。面接で話したっていいんです。

2.習得技術と担当範囲を棚卸しして、口頭でも説明できるよう準備しよう。

どこで何がヒットするか分からないのが生産技術の特徴です。

扱う設備やソフト、担当業務がとにかく多いですよね。

それは自社だけではなく、転職先になるであろう会社も同様です。

自分がちょこっとしか触ったことがないソフトであっても、転職先ではヘビーユーズするソフトかもしれません。

面接で「そのほかに何が使えますか?どんなことをしてきましたか?」という質問が出た時に、簡単にキーワードだけでも伝えられるよう、思い出して話せるようにしておきましょう。

3.自分の意見を関係部署・業者・顧客へ物申してきた経験が重宝される。

ぜひPRポイントとしてプッシュできるようにして欲しいのが、「設計部や製造部に対し、どのくらい意見申し立て、フィードバックをしてきたか」ということです。

単に言われたことをやるという姿勢では、経験がマッチしていても長期的に社員として雇うには能力不足だと捉えられてしまいます。

また同様に顧客との調整ごとにおいても、言うべきことは(角を立てない程度に)きちんと発信でき、関係良好でお互いの意見をすり合わせられることが望ましいです。

言うほどのことでもない経験だけど、、、なんて思わないでください。

面接において自分できちんと伝えられるということは、「できるかできないかはともかく、その重要性はちゃんと理解している。(だから努力してくれるだろう)」と捉え、好評を得られるものなんです。

生産技術の経験を生かして転向するなら、どんな仕事?

もしかすると、転職するなら別の仕事に!と思っている方もいるかも知れません。

生産技術エンジニアとしての経験・スキルを活かすことができる別の業務というと、例えば以下の2つはいかがでしょうか?

プラン1.製造装置&FAロボットの設計エンジニアに転向する

皆さんの会社には生産技術部の他に「工機部」なんてありませんか?

自社の内製で設備開発をやっている会社というのは結構あって、それを担当するのが「工機部」です。

工機部で作られた設備は製造工場に送り込まれ、実際にラインの稼働セッティングは生産技術部の担当者が行うという流れです。

工機部の担当者は生産技術部や製造部と密接に意見交換をしながら設備開発を行いますので、その立場や内情を知っているというのは強みになります。

同様に、製造設備を専業でやっているメーカーというのも多くありますので、そちらもオススメです。

管理人
管理人
日本のロボット産業というのは世界でも屈指の売上高と性能、シェアがあるんですよ!

最大手では九州の安川電機や、山梨県のファナックが有名です。

プラン2.製造装置&ロボットのカスタマー対応を行うフィールドエンジニアに転向する

上記のプラン1にも多少近いですが、製造装置の中には一筋縄では稼働させられないような、複雑かつセッティングがシビアな装置が存在します。

例えば半導体の製造プロセス上で使われる露光装置ですとか。

これらをカスタマー(顧客)に単に納入しておしまいというわけにはいきませんので、設置〜基本の立ち上げ設定を行ったり、実際にカスタマーが意のままに操作できるよう指導をするという仕事が「フィールドエンジニア」の仕事です。

特に、トラブルを起こすと顧客の事業収益に影響するような装置や、顧客が自分でトラブル対応するのが困難な装置であると、顧客の製造工場に常駐監視したり保守対応をするケースもあります。(時にはこれが海外になるケースもあります。)

より縁の下の力持ち感が強い仕事になってきますが、例えば夜勤対応における深夜手当だったり、駐在手当だったりでいい給料になることが多いという隠れメリットもあります。

管理人
管理人
派遣エンジニア時代、同期がフィールドエンジニアとして装置メーカーに派遣されました。

彼はその装置メーカーからアメリカの顧客企業へ駐在として送り込まれ、そのまま海外生活に順応していきましたが、結局帰国しないまま退職して、以降ずっとアメリカ生活をしています。