社内SEはIT系職種の中ではワークライフバランスがとりやすいことから人気のある職種です。
しかし、仕事の中身や立場を理解しないまま転職してしまい、思わぬ後悔をする羽目になるケースが近年増えてきています。
実際みなさんも、事業会社にいた社内SE出身者がなぜかSIerである自社に転職してきて不思議に思った、ということはあるのではないでしょうか?
社内SEから転職する人たちは「転職したけど思わぬデメリットがあり、耐えられず転職した」とおっしゃるケースが本当に多いです!
このページではそのような「社内SEに転職したあとで後悔しがちなデメリット」について、具体的なエピソードも交えて解説していきます。
社内SEに転職して後悔する人が後を絶たない
初めに結論として、社内SEに転職して後悔する人は増加傾向にあります。
昨今のDXブームによって社内の事業成長に向けてITの内製化に取り組もうという傾向になってきており、あまりITに関心のなかった企業でもITエンジニアの中途採用枠を増やしています。
社内SEという職種は元々が超人気のポジションですから、転職希望者には願ったり叶ったりで転職者が非常に増えました。
しかし、そうやってここ5年くらいで転職していった人たちが2年くらいしてどんどんと転職していくのです。さらには事業会社側も「ITの世界からきた人たちにとって我が社はギャップが大きいようだ」と気がつき始めました。
もちろん、うまくフィットして理想通りだったと満足している人や、こういう仕事がしたかったんだと喜んでいる人たちも大勢います。
つまり私が言いたいのは「条件面だけでなく、絶対的な業界や環境の違いまで理解しておかないと痛い目を見るぞ!」ということです。
社内SEの見落としがちなデメリットとは
それではここから、SIerやSaaS系の出身者が非IT系事業会社の社内SEに転職する上での「見落としがちなデメリット」について解説していきます。
- 会社の社風があまりにも合わなくて驚愕する
- エンジニアとしてスキルアップすることが本当に難しい
- インフラ担当になると夜間や休日でも対応に追われる
- 仕事が評価されにくい
1. IT全般に対する考え方があまりにも合わなくて驚愕する
考え方が合わないという退職理由はどんな業界・企業でもありうることですが、社内SEへの転職ではこのギャップに苦しむ人が本当に多いです。
特に、「IT全般に対する考え方」が大きなミスマッチになります。
どこの企業の面接官もITに力を入れて事業変革するんだと息巻くのですが、実際に入社してみて与えられる仕事は社員のヘルプデスクでしかないということが、今この2022年でも当たり前に存在するのです。
たとえば元の勤務先ではバリバリ効率化に取り組みクライアントから感謝されていた方でも、以下のようなことを任されてしまう現実があります。
- 営業部門のITに疎い社員らによる「操作方法がわからない」という質問に毎日追われる
- 社員の本当に些末な依頼対応に追われる(例:パスワードを間違えてロックされた、社用iPhoneを紛失した、プリンターで印刷できない)
- ひたすらキッキングしか任されない
上記の内容は「ある大手IT系派遣会社の情シス部門」の例です。
クライアントがIT系である企業でもこの有様なので、昔ながらの食品メーカーや重工メーカーなどではもっとひどいケースも見受けられます。
福利厚生や残業時間の短さにばかり目がいってしまい、一流企業に転職が決まった!と喜んでいるとこのような事態になることもあります。
自分は入社後に何を任されるのか、実態としてどういう仕事に時間がとられるのかは、面接の場で必ず質問するようにしましょう。
理由2. エンジニアとしてスキルアップすることが難しい
社内SEとしての仕事を通じて経験を積んでもスキルアップできそうにないと感じる方は多く、一部の方にとってデメリットと言って差し支えないでしょう。
社内SEは、自ら開発を進めることは少なく、その仕事の大半はシステムの企画と社内での調整だからです。
従って、エンジニアであるにも関わらず直接開発に携われないことにストレスを感じる方も大勢います。
また、社内SEはネットワーク含め社内のIT関連はすべて担当していることから、ユーザーの些細な問題についても対応する必要があります。
特にヘルプデスクなどでは「社内システムの使い方」や「Microsoft Office 全般の使い方」についても対応することになります。
高度なスキルを持っている人であれば特に、こういった業務を毎日繰り返しているとスキルアップができない危機感と焦燥感に襲われる可能性があります。
理由3. 夜間や休日でも対応に追われる
意外かもしれませんが、残業や休出が少なそうに思える社内SEも夜間や休日でも対応に追われることがあり、それが原因で心身共に疲れてしまうケースがあります。
例えば、システム障害やコンピュータウィルス感染などといった問題については発生した時刻を問わず即対応しなければなりません。
あるいはシステムサポートの担当者として夜間休日でも携帯電話を持たされると、たとえ携帯電話に連絡がなくても気持ちが休まらない日々が続きます。
そういった業務が繰り返し発生すると、過大なストレスとなって退職を考える人もいます。
理由4. 仕事が評価されにくい
「仕事が評価されにくい」ということも、社内SEのデメリットのひとつです。
営業などと比べて利益を直接生まない情報システム部門は成果が見えづらく、どうしても評価されにくいからです。
IT分野に関して分かる人がいない職場であれば、質の良いシステム開発をしても「誰にも認められない」「正当な評価が受けられない」可能性はさらに高くなります。
一方で、社内SEとして働いている当人にとっても「自分のスキル感では、一般的にどれほどの給料を受け取れるのか?」を判断することが難しいことから、自分自身の成果をうまくアピールすることができないことも多くあります。
とはいえ社内SEでよくいわれるメリットは真実で間違いない
業務時間過多になりがちなIT系職種において、ある意味楽園ともいえるくらいに残業時間が少なく有給も取りやすい、そして何より転勤がないという特徴があります。
1. 勤務場所が変わらない
社内SEは自社内でのITシステムの開発、運用管理を担うことから、勤務先も自社内となることがほとんどです。
従って社内SEの仕事を担当している限りは転勤のリスクが低くなり、その点が人気の理由の1つとなります。
それに対してSIerの場合は、契約したプロジェクトごとに客先に訪問したり、あるいは常駐したりすることが多いことから、勤務する場所が定期的に変わってしまいます。
2. ユーザーとの距離が近い
社内SEは自社でのシステム開発および運用を担当していることから、志望理由として「ユーザーと距離が近い」ことを挙げる人が多いです。
社内SEの場合、システムのユーザーは社内にいますので彼らの要望を汲み上げて密接にコミュニケーションを取りながら仕事を進めることになります。
システムを使う人が同じ会社の社員なので、自分の仕事に対するユーザーの反応をダイレクトに感じることができ、それが社内SEにとってのやりがいにつながります。
また、普段社内の人が使う基幹システムやインフラ等の情報システムを管理するためには、社員の声を聴く必要があります。
携わったシステムについて、直接フィードバックを受けられることや、すぐに改善に移せることもやりがいになります。
さらに、社内SEはヘルプデスクとして機能することから、開発だけを行うSEに比べても人が困っているときに役に立てる機会が多くあります。
社員サポートなどの細かな仕事が増えますが、直接に感謝されることも多く、それもまたやりがいにつながります。
こういった仕事のやりがいを感じることによってモチベーションがさらに高まり、気持ち良く仕事ができるようになるでしょう。
それに対して、SIerだと「自分の手掛けたシステムがどのように使用されているのかわからない」ことにストレスを抱えている方は多いです。
3. 比較的残業が少なく働きやすい環境である
社内SEは「一般的な請負会社と比べて残業が少なく、仕事環境やスケジュールが安定していて仕事がしやすい」とされています。
それは、社内SEが開発するのは自社内のシステムであることから、そのスケジュール調整がしやすく、その結果として残業も少なくなる傾向にあるからです。
その一方で、SIerだとお客様からの発注に対してシステムを開発するので、その開発スケジュールを自分でコントロールすることは難しい立場にあります。
また、SIerの開発業務は納期がタイトな案件も少なくなく、残業や休日出勤が慢性的に発生する現場も多いです。
従って、社内SEはワークライフバランスを重視する人にとっても理想的な環境と待遇であると言えます。
社内SEでも、基幹システムを入れ替えるなど大幅にシステムが変更されるときや突発的なトラブル時には残業が必要になることはありますが、その場合でも残業代は支払われることがほとんどです。
社内SEに本当に向いているのはどんな人なのか?
1. ビジネスの観点から物事を考えて、問題を解決できる人
社内SEは、SIerなどと比較して、自社のビジネスを常に意識して考えながら業務を進めることが求められます。
具体的には、システムに対しての様々な課題について、「対応する場合に必要になる費用や労力に見合ったコスト削減効果が得られるか否か」や「ITを活用することで売り上げの拡大や顧客の増加が見込める分野はどこなのかを見定める」といった視点で物事を考える必要があるのです。
それに対して、SIerなどの技術者の場合は、自社のビジネスをあまり意識しなくても仕事を進める上で支障がないことが多いです。
2. ゼネラリスト寄りのスキル、志向性を持つ人
中小企業など規模の小さい情報システム部門では特に、IT全般に対して広い見識があるようなゼネラリストが求められる傾向があります。
このような企業の社内SEの業務範囲は、システムの開発からネットワークやサーバーの構築、セキュリティ設定などの社内インフラ整備、PCのセットアップからヘルプデスクまで多岐に渡るケースが多いからです。
ただし、企業によっては情報システム部門を分業化しているところもありますので、全ての企業が必ずしもゼネラリストを求めているわけではありません。
3. システム開発とインフラの基礎知識がある人
社内SEは、ITに関わる業務の中でも特にシステム開発の管理とインフラの保守運用を任せられることが多いことから、こういった技術についての基礎知識が必要になってきます。
これは、SIerなどが持っているシステム開発のためのスキルやプログラミングスキルとは少し異なったものです。
ただし、基本情報技術者など基礎的知識を証明する資格を取得しておくことについては、異業界から目指すのであれば優位になる可能性はありますが、SIerからの転職であればその効果は低いです。
SIerを社内SEとして採用するにあたってのITスキルの評価については、資格などよりも経験や実績で評価することが多いからです。
まとめ
現在は、社内SEに限らず転職が認知されている環境であり、転職すること自体がマイナスと捉えられるようなことは少なくなっています。
そして社内SEも、転職することで以前の職場で身に付けたスキルを活かして活躍する人もいます。
しかし、転職は多大な時間と労力を必要とするものであり、自分の将来を大きく左右する出来事でもあることから、後悔することがないように真剣に考えて判断するようにしましょう。
ただし、転職活動を行うことは自分の市場価値を知る上では良い機会と言えます。
例えば、転職エージェントを利用して転職活動をする場合は面談の後に担当者が利用者の市場価値にあった企業を紹介してくれます。
たとえ転職に至らなくても、自分の市場価値を知っておくということは今後のスキル向上へのモチベーションとなり、自分の市場価値をより向上させるきっかけにもなるでしょう。
SEが後悔せずに転職するために覚えておきたいこと
SEがエンジニア職としての転職を後悔しないために、いくつか覚えておいて欲しいことがあります。
それは以下の3つのポイントです。
- SI業界(Sier企業)は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
- SI業界は年功序列が根強く、評価が良くても大きく年収が上がることはない
- 転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを利用する
1.SI業界は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
SI業界はDXの追い風を受けて業績好調と思いきや、実際のところは企業淘汰が始まっています。
足元の状況を見ても官公庁にまでクラウドが普及しているのが現実で、オンプレのシステムはどんどん減らされています。
例えば富士通を始めとして早くからクラウドに取り組んでいた企業は生き残れそうですが、従来の技術しか持たない会社は利益の出る仕事を既に取れなくなってきています。
まさに2極化といって差し支えない状況が生まれています。
大手だから安心ということは全くなく、クラウド、更にその先のITの進歩や、移り変わりが激しいトレンドにフィットしていける企業を選べているかがミソということです。
2.SI業界は年功序列が根強い。評価が良くても大きく年収が上がることはない
SI業界の給与体系が「年功序列」であることは、多くのエンジニア社員にとってモチベーションが下がる事実です。
基本的にはクライアントありきの仕事内容ですから、競合他社と変わらない仕事をしているのに全然給料が違うということはザラにあります。
安易な転職はおすすめできませんが、結局のところ給料を上げるには「今より給料テーブルが高い企業に転職する」というのが最も近道です。
高評価で頑張ってるのに年10万すら上がらないというのはよくあることですが、転職したら同じような仕事なのに年70万も給料が上がったというのもよくあることです。
3.転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを選ぶ
エンジニアの仕事を詳しく知らないエージェントは選んではいけません。
- もっと経験が活かせる企業があったはずの人が、「とりあえず経験者がほしい」という程度の企業ばかり紹介された
- もっと高待遇で転職できたはずの人が、PRの仕方を知らないがためにそこまで給料を上げられなかった
ITエンジニアは引っ張りだこですので、転職するだけなら簡単に転職できます。
せっかく転職するなら、自分の経験を必要として高待遇で迎え入れたいという企業に選んで欲しいと思いませんか?
安易に「どこかで聞いたことがある転職エージェント」を使ってしまうと安売りされてしまう原因になります。
人材業界にはエンジニアの仕事のことをよく理解していて、顧客・求職者双方を上手くマッチさせてくれるエージェントも存在します。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを選ぶことは、転職での失敗を避ける基本だと覚えておきましょう。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェント
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを使うことは、2つのメリットがあります。
- これまでの経験を活かすことができ、転職後に必要とされる企業を見つけられる
- 年収を始め、自分を採用するために好条件を出してくれる企業を見つけられる
エンジニアにとっては転職で売り手市場な時期なので、せっかくなら好条件を出すと言ってくれる企業に転職したいですよね。
そのためにはエンジニアの仕事に詳しく、企業が求める人物像や背景を理解でき、求職者の能力を正確に把握してくれるエージェントが必要です。
技術面に詳しく、求職者へも親身に対応してくれる転職エージェントとしては以下の2社が挙げられます。
1.レバテックキャリア
IT分野の皆さんは、まず第一選択として「レバテックキャリア」は登録するということで問題ないでしょう。
特に、年収アップとスキルアップを目的とした転職においては、豊富な知見をもとに強力な力になってくれるはずです。
年収アップした求職者が7割を超えているということで、30〜40歳ごろの「転職で失敗できない重要タイミング」の方にも多く選ばれています。
もちろん、エンジニア経験者であれば20代も歓迎されます。
- ITエンジニア経験者の転職支援に特化した専門エージェント
- 保有求人7000件以上のうち、8割以上が年収600万円以上の求人(登録者の77%が年収アップを達成した高実績がある)
- 大手IT・WEB系企業からスタートアップまで幅広い転職支援実績がある
※サービス対象エリアは、関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)/関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)/九州(福岡)/東海(愛知)
※レバテックキャリアではエンジニア未経験者の求人は取り扱っていないのでご注意ください。
レバテックキャリア 公式サイト:
レバテックキャリアの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。
2.マイナビITエージェント
新卒採用で有名な「マイナビ」ですが、実はITエンジニアの転職に特化したサービスを展開しています。
全国区のエージェントだからこその案件数・カバー率に加え、エンジニアの仕事やトレンドに詳しいというバランスの良さがポイントです。
転職サポートに登録して最初の面談では、「あれもこれも紹介されても納得感がないと思うので、本当にマッチしている企業を10社だけ紹介させてください」という分かりやすいスタンスで接してくれるのも魅力です。
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マイナビITエージェントの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。