高い能力をもって企業の課題を解決することから、エリート・高年収といったイメージを持たれることが多い「コンサルタント」の仕事。
世の中でDXの必要性があちこちで語られるようになったことから、DX請負人のような形で「ITコンサルタント」が特に注目を浴びています。
なんとなく仕事がデキル人が集まっている、年収1000万円は余裕、のような別世界のイメージを持たれがちですが、役割や仕事内容の実態はどうなのでしょうか?
そしてITコンサルタントへの転職を検討する方にもイメージがつかめるよう、
- ITコンサルタントとSEの違いとは?
- 実際にどういう人がITコンサルタントとして採用されやすいのか?
- ITコンサルタントに転職して感じやすいギャップとは?
これらについても余すことなく解説していきます!
ITコンサルタントの役割と仕事内容
ITコンサルタントとは、ITを活用しクライアントとなる企業が抱える課題を解決する専門家です。
企業の経営戦略に則ってIT戦略を策定し、システム導入・開発の提案や、既存システムの最適化を通して企業をサポートします。
多くの場合、ITコンサルタントは「コンサルティングファーム」という企業に所属して働くことになります。
ITコンサルタントの仕事内容は、企業のIT戦略策定からシステムの見直しや新システムの導入提案、既存システムの最適化や検証、プロジェクトの進捗管理まで多岐にわたりますが大きく分けて3つに分けることができます。
まずは、ヒアリング・分析、次に分析結果を踏まえての提案、最後に採用されたプロジェクト・マネジメントの3つになります。
ヒアリング・分析
1つ目のヒアリング・分析では、企業の経営者やIT統括責任者、IT部門担当者から業務範囲や経営戦略、導入済みの既存システム、業務フローをヒアリングし、結果を整理・分析することでIT分野において企業が抱える課題を洗い出します。
課題に対する提案
2つ目の提案では、前段階でヒアリング・分析した結果を踏まえ、企業の抱える課題を解決するための提案を行います。
企業に対し、今の課題は何かどのような方法で課題解決できるのか、明確な根拠を持ってプレゼンテーションする力が必要となります。
プロジェクトマネジメント
3つ目のマネジメントではプロジェクトを統括し、必要な人材を集めてのチームビルディングから進捗管理や危機管理、品質管理を行います。
ITコンサルタントの案件事例
ITコンサルタントの仕事内容を、よくある案件事例の紹介を通して具体的に説明していきます。
事例1:新システムの導入_業務のペーパレス化
多くの百貨店や老舗メーカーの工場など、紙を使用した業務を行なっている企業は多くあります。新システムを導入し、ペーパーレス化することで紙媒体の社内文書を電子化することで業務を効率化したり、セキュリティを強化したり、過去の文書の保管スペースをなくすことができます。
新システム導入の際は、特に業務フローと現場業務の詳細なヒアリングが重要となります。業務フローや現場の把握が十分に把握できていないとその後の分析を十分に行えず、企業にとっての最適な課題解決案を提案することができません。
業務であっても、客観的に分析すると無駄であり簡略化を図れる場合がほとんどです。
また、この段階でクライアント側とヒアリングの目的を明確にしておき、全面的に協力してもらう必要があります。
事例2:新システムの導入_DX推進
DX推進の事例は多岐に渡りますが、商業施設等でのDX推進事例です。
多くの商業施設では会員制度を設けていますが、会員向けに来店促進のためのDM発送で毎年多大なコストが発生する場合が多いです。
また、POSシステム(店舗ごとの商品管理や売上情報、顧客の購買行動をデータ化して把握・分析するためのシステム)を導入していても各店舗でデータを一元管理できていないなど課題も多いのが現状です。
そこでDX推進として各種データを一元管理できる仕組みの構築し、リアルタイムで可視化できるようにすることで顧客向けのモバイルアプリのプッシュ通知を使い効果的に来店を促すことができるようになります。
このように、新しいサービスや新しいビジネスモデルを生み出す提案をすることで新たな価値を創出し、顧客企業の競争上の優位性の確立を手助けします。
DX推進の案件ではクライアント側の業務上の困り事だけにフォーカスするのではなく、企業の顧客体験の変革を見据えた提案が必要となります。
事例3:既存システムの刷新
ITコンサルタントの案件事例、3つ目は「企業で使用されている既存システムの刷新・リニューアル」です。
システムは「生(なま)もの」と言われるくらい、あっという間に陳腐化します。
IT技術は日々進化しており、システムを導入していても古い場合は返ってコスト効率が悪くなることがほとんどです。
古いシステムを使い続けているクライアント企業には、既存システムの刷新を積極的に提案します。
既存システムに別のシステムを導入して連携したり、既存システムは廃止して新たに新システムを導入したりする場合もあります。
既存システムを刷新する場合は、まず「既存システムの分析・評価」から行います。
新システムを導入する際と同様、クライアント側の業務フローをしっかり理解した上で問題点をあらゆる側面から正確かつ慎重に分析・評価する必要があります。
その上で、既存システムは残しつつ別システムを導入・連携するのか、または、既存システムは廃止すべきなのか慎重に検討し、提案します。
万が一にもシステム刷新に失敗すると、クライアントの業務が大規模に停止する可能性が高く、責任の大きい案件です。
ITコンサルタントとシステムエンジニア(SE)の違い
ここからはITコンサルタントとシステムエンジニアの違いについて、以下の3点から紹介します。
- 業務内容、必要な能力の違い
- クライアントから見た役割・立場の違い
- 働き方や待遇・年収の違い
違い1:業務内容・必要な能力の違い
ITコンサルタントの役割は、クライアント企業の経営課題を解決することです。
そのため、ITコンサルタントの職務はクライアント側からのヒアリングを通し経営課題を抽出することから始まります。
そして課題が特定できたら、解決するための最適なシステムの検討・提案を行います。
このフローにおいては、クライアント側の経営課題を正確に把握するための理解力、そして最適な解決策を導き出すための論理的思考力が必要となります。
ITコンサルタントの提案がクライアントに承認されると、ここからSE(システムエンジニアが要件に沿ってシステムを開発します。
ITスキルや論理的思考力が必要となるほか、チーム内外で密に連携するためコミュニケーション能力、最新技術への感度の高さも必要となります。
ITコンサルタントはシステム開発における初段階である上流工程と呼ばれる工程を担当し、システムエンジニアはシステム開発の中〜終盤である下流工程と呼ばれる工程を担当します。
違い2:クライアントから見た役割・立場の違い
クライアントから見てITコンサルタントはお医者さんのようなものです。
対話や提供資料から正確に現状を把握・整理・分析し、抱える課題をどのように解決するか親身になって考えてくれるためです。
ITコンサルタントが直接コミュニケーションを取り、現状の課題点や要望を直接聞いてくれるお医者さんのような存在だとすると、エンジニアは処方箋通りに製薬・調剤してくれる薬剤師のような存在です。
ITコンサルタントがクライアントと合意してきた要件・方向性をシステムエンジニアが正しくシステムとして開発します。
エンジニアもクライアントと関わることがないわけではなく、システム開発上の制約や要件の実現可能性、技術的懸念事項について説明することもあるため、クライアントからすると技術の専門家として頼りになる存在です。
また、要件を把握しつつ、システムの設計段階になると要件の詰めの弱い箇所などを洗い出す第3者的役割としても認識されています。
違い3:働き方や待遇・年収の違い
ITコンサルタントの平均年収は928万円、システムエンジニアの平均年収は778.2万円※と言われています。
ITコンサルタントはIT系の職種の中でも高水準の年収で、その分求められるITスキルは高まります。
働き方の違いについてですが、コロナ禍においてIT関連の職の多くがリモートワークになっており、仕事環境に差は無くなってきていますが、ITコンサルタントの1日は資料作成、ミーティングが主になります。
コロナ禍以前で言うと客先へ常駐することが多いです。一方エンジニアの1日はシステム開発のための設計・コーディングが主です。
ITコンサルタントと同様、客先へ常駐する場合も多いですが、自社オフィスで作業を進める場合がほとんどです。
※経済産業省 「IT関連産業の給与等に関する実態調査結果」(2017)から抜粋したデータを参照
ITコンサルタントへの転職を目指すのはどんな人が多い?
ITコンサルタントへの転職を目指す人として多いのは、前職でシステムエンジニアだった人がキャリアアップとして目指す場合です。
ITコンサルタントはプログラミングスキルやアーキテクチャの詳細な知識・スキルは無くても目指せますが、これらの知識があることは強みになります。
また、システムエンジニアは主に下流工程を担当しますが、その経験から上流工程からシステム開発に携わり、技術者目線も持ち合わせつつ、より品質の高い製品や知識を提供したいと思う人が多いです。
実際にITコンサルタントに採用されるのはどんな人?
実際に採用されるのは、前職でシステムエンジニアやプロジェクト・マネージャをしていた人です。
中でも、要件定義や基本設計に携わった経験があると採用されやすいです。
これらの工程では開発するシステムで何を実現したいのか、そのためにどんなシステムを作るのか、というシステム開発の全体像を定める工程であり、その考え方はITコンサルタントに通じるものがあるためです。
また、前職でシステムエンジニアやプロジェクト・マネージャーの経験がない人であっても、コンサルタントとしての資質を見られ、採用される人も多いです。
まず論理的思考力があること、加えて業務知識や経営視点があることも重要視されます。
実際に、銀行員からITコンサルタントに転身し、金融業界のクライアントのもとで活躍する人もいます。
それ以外にも、クライアントと円滑に仕事を進められるコミュニケーション能力も資質として見られます。
そのため顧客折衝やコンサルティング営業の経験があることも採用される上での強みと言えます。
SIerからITコンサルタントに転職して感じやすいギャップは?
SEやSlerからItコンサルタントに転職する際に感じるギャップとしては以下の2つです。
- 実力主義
- 業界のプロ意識
まず、実力主義の面では多くのSEやSlerは今でも年功序列で役職や年収が上がる場合がありますが、ITコンサルタントは実力次第で昇進のスピードや年収も大きく変わってきます。
そのため、常に勉学をおこないスキルを磨いていかないといつまでも同じ役職で仕事をすることになります。
次に「ITコンサル業界全体のプロ意識」ですが、ITコンサルタントは業界の初心者として入社しても、クライアントからは他のコンサルタントと同様のスキルや対応を求められるという特徴があります。
SEやSlerは初心者であれば上司がプログラミングの補助などをおこないますが、ITコンサルタントでは一人で多くの業務をするのが当たり前です。
初心者だからと言って責任を取らないということはありません。
高いプレッシャーの代わりに成長スピードも早く、圧倒的な実力を身に着けることができます。
まとめ:ITコンサルはどういう人に向いている職種か?
この記事では、ITコンサルタントの業務内容や年収について紹介していきました。
ITコンサルタントは、仕事が多岐にわたるため多くの知識やスキルが必要になりますが、その分やりがいや給与に反映されます。
マネジメント経験やエンジニア経験がある方は、次のステップアップとしてITコンサルタントとして働くのは現実的なキャリアアップとなります。
SEが後悔せずに転職するために覚えておきたいこと
SEがエンジニア職としての転職を後悔しないために、いくつか覚えておいて欲しいことがあります。
それは以下の3つのポイントです。
- SI業界(Sier企業)は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
- SI業界は年功序列が根強く、評価が良くても大きく年収が上がることはない
- 転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを利用する
1.SI業界は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
SI業界はDXの追い風を受けて業績好調と思いきや、実際のところは企業淘汰が始まっています。
足元の状況を見ても官公庁にまでクラウドが普及しているのが現実で、オンプレのシステムはどんどん減らされています。
例えば富士通を始めとして早くからクラウドに取り組んでいた企業は生き残れそうですが、従来の技術しか持たない会社は利益の出る仕事を既に取れなくなってきています。
まさに2極化といって差し支えない状況が生まれています。
大手だから安心ということは全くなく、クラウド、更にその先のITの進歩や、移り変わりが激しいトレンドにフィットしていける企業を選べているかがミソということです。
2.SI業界は年功序列が根強い。評価が良くても大きく年収が上がることはない
SI業界の給与体系が「年功序列」であることは、多くのエンジニア社員にとってモチベーションが下がる事実です。
基本的にはクライアントありきの仕事内容ですから、競合他社と変わらない仕事をしているのに全然給料が違うということはザラにあります。
安易な転職はおすすめできませんが、結局のところ給料を上げるには「今より給料テーブルが高い企業に転職する」というのが最も近道です。
高評価で頑張ってるのに年10万すら上がらないというのはよくあることですが、転職したら同じような仕事なのに年70万も給料が上がったというのもよくあることです。
3.転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを選ぶ
エンジニアの仕事を詳しく知らないエージェントは選んではいけません。
- もっと経験が活かせる企業があったはずの人が、「とりあえず経験者がほしい」という程度の企業ばかり紹介された
- もっと高待遇で転職できたはずの人が、PRの仕方を知らないがためにそこまで給料を上げられなかった
ITエンジニアは引っ張りだこですので、転職するだけなら簡単に転職できます。
せっかく転職するなら、自分の経験を必要として高待遇で迎え入れたいという企業に選んで欲しいと思いませんか?
安易に「どこかで聞いたことがある転職エージェント」を使ってしまうと安売りされてしまう原因になります。
人材業界にはエンジニアの仕事のことをよく理解していて、顧客・求職者双方を上手くマッチさせてくれるエージェントも存在します。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを選ぶことは、転職での失敗を避ける基本だと覚えておきましょう。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェント
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを使うことは、2つのメリットがあります。
- これまでの経験を活かすことができ、転職後に必要とされる企業を見つけられる
- 年収を始め、自分を採用するために好条件を出してくれる企業を見つけられる
エンジニアにとっては転職で売り手市場な時期なので、せっかくなら好条件を出すと言ってくれる企業に転職したいですよね。
そのためにはエンジニアの仕事に詳しく、企業が求める人物像や背景を理解でき、求職者の能力を正確に把握してくれるエージェントが必要です。
技術面に詳しく、求職者へも親身に対応してくれる転職エージェントとしては以下の2社が挙げられます。
1.レバテックキャリア

IT分野の皆さんは、まず第一選択として「レバテックキャリア」は登録するということで問題ないでしょう。
特に、年収アップとスキルアップを目的とした転職においては、豊富な知見をもとに強力な力になってくれるはずです。
年収アップした求職者が7割を超えているということで、30〜40歳ごろの「転職で失敗できない重要タイミング」の方にも多く選ばれています。
もちろん、エンジニア経験者であれば20代も歓迎されます。
- ITエンジニア経験者の転職支援に特化した専門エージェント
- 保有求人7000件以上のうち、8割以上が年収600万円以上の求人(登録者の77%が年収アップを達成した高実績がある)
- 大手IT・WEB系企業からスタートアップまで幅広い転職支援実績がある
※サービス対象エリアは、関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)/関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)/九州(福岡)/東海(愛知)
※レバテックキャリアではエンジニア未経験者の求人は取り扱っていないのでご注意ください。
レバテックキャリア 公式サイト:
レバテックキャリアの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。
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新卒採用で有名な「マイナビ」ですが、実はITエンジニアの転職に特化したサービスを展開しています。
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マイナビITエージェントの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。