日本のものづくり業において、最も大きな業界といっても過言でないのが「自動車業界」です。
国内ではトヨタ、日産といった「完成車メーカー」に加え、構成部品を開発・製造している「部品メーカー(サプライヤ)」がわんさか存在します。
一度自動車業界のメーカーで経験を積めば、業界内の多くの企業でも経験者として優遇されやすくなります。
自動車自体への抵抗感がないとか、それほど業界にこだわらないから安定して働きたいということであれば非常におすすめな業界と言えます。
自動車業界で取り扱う製品とは具体的にどんなものか?

例えば分かりやすく言うなら、「エンジン」「ステアリング(ハンドル)」「シート」「トランスミッション」といった構成単位で分かれているようなイメージです。
最近は電子制御がモリモリに搭載されているので、「エアコンの制御ソフト」「ウインカーの制御ソフト」「自動ブレーキの制御ソフト」「ハイブリッド車の電力制御ソフト」といった分野毎でも分かれています。
部品単位では特有の先端技術は少ない。ただし、品質・信頼性の担保に対する考え方は特に厳しい。
自動車開発における大きな特徴として、
「家電をはじめとする民生品で既に実用されていて、安心が保証されている技術」
が使われていると言う特徴があります。
と言うのも自動車は人命を乗せて走っているので、実用され始めたばかりの最先端技術というのはどんな不具合が起きるか分からないため、安全を保障するために避けているからです。
例えば構成される電子部品一つとっても、スマホでは実用実績が十分にあり、何年かして不具合も潰し切っているものがクルマに搭載されたりします。
このことからも分かる通り、
「部品一つ一つのレベルまで、品質・信頼性を厳しく管理している。」
と言うポリシーがあり、開発手法や検証テスト量の質・量とも膨大となっています。
また、その特有の開発フローがあるからこそ、自動車業界での転職事情としては業界経験者が特に優遇される理由ともなっています。
自動車産業に該当する製品を取り扱っている企業の一例。
完成車メーカー
トヨタ自動車、日産自動車、本田技研工業(ホンダ)、マツダ、スバル、スズキ、ダイハツ
自動車部品メーカー(サプライヤー)
デンソー、アイシン精機、豊田自動織機、ジェイテクト、カルソニックカンセイ、日本精工、小糸製作所、NOK、日立製作所(日立AMS)、三菱電機、ケーヒンなどなど。。
自動車産業は超大手の完成車メーカー〜ビス1本作る町工場まで裾野が広い。

日本の自動車業界は
「完成車メーカーを頂点とするピラミッド構造」
と言われることが多く、下請け構造が何層にも続く構造をしています。
下請けと言うとなんだか微妙なニュアンスを感じてしまいますが、
例えば一次下請けであるデンソーのグローバル売上高は4兆円ととてつもない規模であり、二次・三次の下請けであっても大企業と呼ぶのに差し支えない規模の会社がほとんどです。
更に、極端な話、ビス1本、金型一つを職人技で作り出す町工場まで連なっていると言えるので、非常に裾野の広い業界です。
下請け企業や派遣エンジニアとして関与することは可能か?利用はあるのか?

さて、ここまではあくまでものを作っている「メーカー」に注目してきましたが、
自動車業界に関わるのは設計・テストといったエンジニアリング業務だけを請け負って製造納入はしない「エンジニアリング会社」や、
管理人の僕も働いていた「エンジニア派遣会社」でも関与することができます。
特にエンジニア派遣の場合、超大手企業と言っても差し支えない完成車メーカーや、その直下の系列部品メーカーにも派遣されることが多々あります。
中途で転職するにはそれなりにハードルが高く、優秀な即戦力としての活躍を期待しての採用が多いですが、
それがダメでも派遣会社からの派遣エンジニアとして就業するのであれば、社員同様の技術業務に携わることができます。
念のため書いておきますが、ここで書いている「派遣エンジニア」と言うのは【正社員型の派遣エンジニア】のことです。
業務に理系の専門知識が必要となるエンジニアの場合、派遣会社(派遣元)に正社員契約で雇用されて、メーカー企業に派遣されると言うスタイルが存在します。
正社員雇用なので安定して仕事があり、普通のサラリーマンとして給与も毎月途切れず貰えます。詳しくは当サイトの別記事をどうぞ。