【2021年1月追記】
本記事の掲載内容は2018年時点の景況感によるものです。
残念ながら現在の景況感ですと、第二新卒の未経験者が機械設計エンジニアに転身することは困難です。
製造業の自動車、工作機械、産業装置と言った機械に関連する業界での業績が回復し、開発プロジェクトが増加すれば未経験者からの採用も復活してくるものと考えられます。
今回は25歳・未経験でものづくりエンジニアに転職した平田さんからお話を伺っていきます。
平田さんがユニークなのは、未経験からエンジニアに転身しましたが、分野が機械系の設計エンジニアとしてだったという点です。
今は機械系も未経験から転職できるの?と私も驚きでした。では平田さん、お願いします!
ダメ元でも一応応募してみるものだなと今でも思います。今日はよろしくお願いします!
日本全体でのエンジニア需要の高まりについては、今や多くの方がご存知の通りです。
新聞・テレビニュースでも頻繁に報道されるようになる話題で、おかげで技術業務未経験からエンジニアになる方や、
IT系ならば文系出身の方がエンジニア(技術職)に転身することも珍しくなくなってきました。
ですが、IT系に比べ習得が難しいとされるものづくりエンジニアで、
更にこれがプログラマーではなくて機械系で転職に成功するというのは驚きのケースです。
その事情と背景を、平田さんからお聞きしてきました!
25歳・未経験で機械設計分野のエンジニア・技術職に転職するまでの経歴と理由とは?
ですが、3年後半時点では「俺、特に成績いいわけでもないのに技術職なんてやれるか?」って自信が持てなくて。
自然と理系ではない職種で、何と無く物流サービス業界の会社に入社して、大規模な倉庫の運営を行う管理部門で働いていました。
(以下、平田さん談)たまたま、大学時代の同期の友人と久々に会った時に、その友人が勤める会社の中途採用に応募してみないか?と誘われたんです。
その会社が大手のエンジニア派遣会社だったんですが、
「2017年から、機械系大学卒の第二新卒(25歳以下)の中途採用をスタートする」と言うことでして、
大卒後のブランク対策コミで「約4ヶ月間の機械系研修」をやった後にエンジニアデビューという話でした。
実のところ、3年間我慢してたんですけど、土日休みが欲しかったんです。
あとできれば、有給休暇も使いたかった。
僕の一番の転職の動機は「友人と遊べる日に休みたい」ということです。
新卒で入社した会社は物量業ということで、毎日常にモノの流通を止めないことが利益を上げるための使命とも言えます。
だからこそ土日休みは交代で撮る、希望休日制だという事は分かって入社したんですけど、3年もやるころにはこりごりという気持ちでした。
友人には遊びに誘ってもらえなくなるし、有給も土日には使えないし、特にAm●zonには恨みの気持ちでいっぱいですよ。
友人からエンジニア派遣に誘われるまでは意識してなかったんですが、そういえば技術職って土日祝日休みだなって気がついたらアレコレ聞いちゃってました。
結論としてはその話に乗っかって、翌月に一次面接→最終面接を受け、見事内定をいただくことができました。
入社はできるだけ早い方がいいと言われつつも、退職のための引き継ぎ期間をOKもらって3ヶ月後に入社ということになりました。
高校で理系を選んだ理由が「理科と数学が得意だったから」だけの場合に起きる問題。
そのまま大学卒業まで来てしまったのが良くなかった。ちゃんと将来を考えるべきでした。
ほとんどの方は、高校2年に進級するくらいに「文系・理系」と言うクラス分けが発生します。
高校2年生といえばまだ部活だとかテレビゲームに夢中な年頃です。
そんな頃だと「将来は機械設計者になろう!」どころか、「技術職・エンジニアになろうかな。」すら思っていない人が殆どです。
とはいえ大学に入学して、
ものづくり実習で加工機の使い方とかを学んだあたりから、おぼろげながら将来像が見えて自覚が出てくるものです。
が、そんな時期になっても「技術職・エンジニア」として働く自分の姿が見えないまま就活に突入してしまうと、平田さんのように「俺にできるのか…?」と言う(今更な)疑念にはまってしまうようです。
エンジニア・技術職は土日休み、有給はどのくらい取れる?
平田さんのように土日休みが欲しくて転職する若手というのは、全職種に渡って割合としては多い印象です。
特に土日がほぼ確実に潰れる美容師なんかはドンドン辞めてしまいますよね。
エンジニア・技術職は土日祝日休みが基本です。
自動車業界だけは特殊で、土日休みですが祝日はなしのことがほとんどです。
代わりに、GW・夏休み・年末年始休みは、カレンダー上で祝日が飛び石でも、まるっと1週間繋げて9〜11連休というカレンダーになっています。(勿論、有給を使わずにです。通称「ト●タカレンダー」と言います。)
エンジニア・技術職が有給を取りやすいかどうかは、会社、そして担当プロジェクトの状況にもよります。
しかし、労働基準監督署は有給がどれだけ取れているか?という面で企業への監視の目を光らせています。
特に社員数の多い大手メーカーほどきっちり見られているものでして、結果として大手メーカーは総じて取りやすい。
もとい、年間に取らないといけない有給の最低取得日数が決まっています。
一方で労働基準監督署の目が行き届きにくい、数多の数ある中小企業は有給なんて一切取れない、ということが起きやすいです。
希望の有給を取るためには、架空の親族を危篤状態にしないといけないことがザラです。
25歳・未経験で機械設計分野のエンジニア・技術職になれる企業はあるのか?
メーカー企業はどこも業績が好調なことから、採用人数を大きく増加させており、その影響としてエンジニア派遣会社では、今まで採用できていた人数が採用できなくなってきています。
さらに顧客であるメーカー企業からの派遣オーダー自体も増加しており、派遣募集の案件はもらえても、派遣に出てもらうエンジニアが不足していて対応できない状態に陥っています。
まさに嬉しい悲鳴と言う状態ですね。
その対策として、自社の正社員エンジニアの給与・働きがいを高めるような待遇アップ施策を打ったり、
平田さんのように「エンジニア未経験でもOK」と言う枠を設ける動きが進んでいるのです。
エンジニアとして必要な機械設計分野の知識はどう身につけるのか?
具体的には、入社前に配布された理解度チェックの宿題では、高校物理の「力学・モーメント」の単元レベルから問題が入ってましたね。
(以下、平田さん談)入社後は材料力学をベースにした座学研修と、CAD図面作成の研修がみっちり1日8時間というのが基本です。
25歳までの3年間働いていた身からすると、勉強してお金がもらえるとかどんな贅沢な話だと思いましたよ。
僕はCADについては卒業研究で3Dも触ってたので比較的習得が早かったですけど、授業でしか触ったことがないという人は少し時間がかかっているようでした。
それも最初のうちに差があるだけで、3ヶ月目には何も変わらなかったですけどね。
2ヶ月目の半ばくらいからは実践的な設計研修として、部品の強度計算はどんな情報をもとに、座学で学んだどの知識を使って行えばいいのか?ということを考える研修に入りました。
徐々に内容が難しくなっていって、最後の方の課題では、
「要求仕様を満たすための計算→3D&2D図面作成→簡易シミュレーション」までを通しで行えるようになり、実際の業務の流れをイメージできたように思います。
25歳・未経験で機械分野のエンジニア・技術職に転職できたポイントとは?
(以下、平田さん談)実際、大手のエンジニア派遣会社の多くが、講師を増やす、カリキュラムを組み直すといった未経験者受け入れの体制を整えているようです。
僕自身のところで言えば、
「人と話す事は好きな方だった」という事はポイントかもしれません。
実際に、面接で強みは何かと聞かれてこの点はエピソードや実体験を交えてPRのつもりで話しました。
派遣エンジニアとしてお客さん先に行くに当たって、コミュニケーションが取れた方がいいのは間違いないですからね。
25歳の未経験とは言え、大学で機械系科目を勉強していてよかった。
(以下、平田さん談)今回同期で中途入社した8名のうち、5名は機械系の学科卒でした。
プログラマーと違って、機械系の学問はゼロからの教育がしにくい分野ではあるので、
機械系学科卒じゃないならそれなりに人柄や伸び代のハードル・期待値が高いと言われました。
それに後から思えば、派遣エンジニアとしてお客さん先に行ってから
「機械系の学科出てないんです」と言う勇気は、いくらみっちり研修受けてても僕には持てなかったでしょうね。。
2年経過した今、未経験からの入社で後悔してない?
エンジニアという仕事自体に対しては、学びが多いという点で喜びを感じられることが多いです。
前職は新しい仕事ができるようになっても「学び」という感じはしなくて、ただできる仕事が増えたとしか捉えられませんでした。
だんだん技術的な専門知識がついてくるに伴って、ああ、俺ってプロなんだな、、って思うことが出てきて、誇らしい気持ちになることがあります。