一般的に、社内SEはSIerのSEと比べると仕事が「楽」と言われることが多いのですが、実際にはどうなのでしょうか。
先ずは社内SEの仕事が楽と言われる理由について、3つのポイントを上げて具体的に解説します。
社内SEはSIerと比べて楽すぎるといわれる理由とは?
それでは社内SEが楽だと言われる理由について、4つの観点でお話ししていきたいと思います。
- SIerとくらべて平均的に残業が少ない
- 残業や休日出勤の調整がしやすい
- 交渉相手は基本的に社内の人間なので、精神的に気楽
1. 平均的に残業が少ない
社内SEはSIerのSEと比べると残業が少なく、それが楽とされている理由の一つです。
社内SEの残業時間はIT業界の職種の中でもっとも少なく、ある統計によると月に17~20時間程度であると言われています。
その理由は、社内SEは自分の裁量でスケジュールを決めて、そして必要に応じて変更することもできるからです。
それに対してSIerは、スケジュールについては顧客側が決めた中で収める必要があり、一度合意したスケジュールをSIerやSES側で変更することはまず出来ません。
しかし、プロジェクトを進めていくとどうしても想定外のことが発生するので、その穴埋めのために残業を強いられることになります。
SIerのSEでも残業時間を制限している傾向は多くなりつつありますが、事業会社と比較するとまだまだ残業時間は多いです。
ただし、社内SEの残業時間は、働いている企業の体質やその中での役割に依存することも多く、それに応じて異なるケースもあります。
例えば、企業文化として「残業が当たり前」という体質であれば、社内SEも例外ではなくどうしても定時では直ぐに帰りにくい職場環境になるでしょう。
2. 残業、休日出勤についても、自分で調整しやすい
社内SEは、勤務時間や有給休暇を自分で調整しやすいことから、適切なワークライフバランスを保ちやすいことも楽と考えられている要因の一つです。
自社開発を担う社内SEであれば、納期の調整もある程度はできることから、仕事とプライベートが両立しやすい職種であるといえます。
それに対してSIerのSEの場合は、顧客のスケジュールに従うことになるので、自分自身の裁量で決める範囲がどうしても狭くなります。
また職場がプロジェクトによって変わることから、その顧客先のカレンダーや働き方に合わせなければなりません。
さらには、顧客先によってはリモート勤務ができなかったり、休日出勤しても代休が取りづらかったりといったデメリットがあります。
このような状況からも、社内SEはワークライフバランスを保つことができて、仕事とプライベートのどちらも充実させやすいと言えるでしょう。
3. 交渉相手が社内ということで精神的に楽
社内SEの仕事の相手は自社内の人間であることがほとんどであり、それが精神的に楽ということもあります。
SIerのSEとして仕事をしている時は、社内SEから発注を頂き案件ベースで仕事を進めます。
その為、SIerのSEは契約した条件に従うことが強く求められます。
それに対して社内SEの場合は、仕事の進め方についても自社内の人間と調整することができるため、そこまでプロジェクトへのコミットも強烈ではありません。
顧客を相手にして仕事をすることと比べると、大きなプレッシャーを感じることも少ないでしょう。
その結果として、社内SEは余計なストレスを感じず、気持ちに余裕をもって仕事を進めることができます。
SIerのSEが辞めたいと感じるポイントについても別のページで解説していますので、併せてチェックしてみてくださいね。
社内SEだからこそ苦労する「楽じゃない」ポイントは?
このように「仕事が楽」と言われている社内SEですが、社内SEならではの苦労する点もあります。
そこで、社内SEが苦労する「楽じゃない」ポイントについて4つ取り上げて解説します。
- システムのトラブル時には休日・夜間でも対応が必要
- 調整業務が多く人間関係に気を遣う
- 煩雑な仕事まで任されてしまい、便利屋のように振り回されがち
- エンジニアとしては質の低い仕事をせざるを得ないこともある
1. システムのトラブル時には休日・夜間でも対応が必要
社内SEとしてインフラの運用管理を担当していれば、社内インフラに異常が出てしまった場合には休日や深夜でも対応しなければならないことがあります。
そういった理由で、インフラの運用管理を担っている社内SEは会社の携帯電話をもたされて、仕事を離れた時でも常に気に留めておかなければなりません。
よほど問題のあるシステムでもない限りは、そういったトラブルは頻発して発生するものではありませんが、「いつ発生するのか分からない。発生したら直ぐに対応しなければならない」ということは精神的につらいと感じるものです。
SIerのSEもトラブル対応を行うことはありますが、一般的には社内SEほどには責任は大きくはなくプレッシャーも少なくなります。
2. 調整業務が多く、人間関係に気をつかう必要がある
社内SEはあらゆる場面で、さまざまな人とコミュニケーションを取りながら調整して進めなければならず、それで苦労している人も多いです。
社内SEは関連部署への根回しや報告、部下のコントロールなどを担わなければなりません。
そして、経営層やベンダー、現場といったさまざまな立場の人との調整役になり、板挟みになりがちな職業でもあります。
またヘルプデスクでは、システムを利用しているユーザーとメールや電話で直接やり取りする必要があります。
その中にはシステムに対してクレームを言ってくる人がいるかもしれませんが、そのような時でも冷静に対応しなければなりません。
このように社内SEは人を相手にする業務が多いことから、コミュニケーションが苦手な人にとってはストレスを感じやすい職種といえます。
3. 煩雑な仕事まで任されてしまい、便利屋のように振り回されがち
社内SEの業務では、その内容が多岐に渡ることから数多くの仕事を同時並行で進める必要があり、人によっては仕事に振り回されることがあります。
社内SEはシステムの企画や導入から、トラブル時の対応、利用にあたってのサポートなど複数の業務を並行して進める必要があります。
さらに、外注先とのやり取りが発生したり、各作業に配分するリソースを調整したりと、臨機応変に対応しなければなりません。
こういったマルチタスクをこなすためには優先度をつける必要がありますが、それが苦手な人は仕事に振り回されることになり、精神的につらいと感じる可能性が高いです。
4. エンジニアとしては質の低い仕事がくることもある
社内SEは、企業の中でのシステムに関わる課題、問題は全て解決しなければならないという役割を担います。
このため雑務のような仕事を任されてしまうこともあり、精神的にきついと感じることも多いのです。
「パソコンの調子が悪い」
「表計算ソフトの使い方が分からない」
「PCを使った資料の作り方を教えてほしい」
このようなITに関する疑問の全てが社内SEに集まってしまうことまであり得ます。
それがたとえ本来的な業務ではなくても、社内SEという立場上は対応せざるを得ません。本当に悲しいところです。
また規模の小さい企業では、社内SEは独立したシステム担当部署ではなく総務部などに在籍してシステムの開発、運用を担うこともあります。
そういった企業では、社内SEという職種であってもエンジニアからはますますかけ離れた業務を行うことになるでしょう。
このような事情から、社内SEはエンジニアとして新たな技術スキルを身につけることも難しく、精神的に厳しいと感じる人もいます。
社内SEが辞めたいと感じるポイントについても別のページで解説していますので、併せてチェックしてみてくださいね。
まとめ
社内SEは、残業時間が比較的少なくワークライフバランスも整いやすいなどといった魅力はありますが、その一方で苦しいこともあります。
従って、社内SEを楽と感じるか否かについては、その人の価値観に応じて異なってくるでしょう。
また、社内SEを担っている内に「やっぱり開発現場で技術がやりたい」と考えてSIerなどに戻りたくなったとしても、社内SEの期間が技術面でのブランクとなってしまっていることから戻ることが難しくなることもよくあることです。
SIerのSEから社内SEへの転職を考えている人は、
- 社内SEの実際の仕事内容、特に苦労する点はどのようなことなのか?
- 仕事をしているときに、自分はどのようなことにストレスを感じやすいのか?
- 目指している将来像を踏まえて、それに必要なスキルが身につくのか?
という3点についてしっかりと考える必要があるでしょう。
SEが後悔せずに転職するために覚えておきたいこと
SEがエンジニア職としての転職を後悔しないために、いくつか覚えておいて欲しいことがあります。
それは以下の3つのポイントです。
- SI業界(Sier企業)は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
- SI業界は年功序列が根強く、評価が良くても大きく年収が上がることはない
- 転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを利用する
1.SI業界は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
SI業界はDXの追い風を受けて業績好調と思いきや、実際のところは企業淘汰が始まっています。
足元の状況を見ても官公庁にまでクラウドが普及しているのが現実で、オンプレのシステムはどんどん減らされています。
例えば富士通を始めとして早くからクラウドに取り組んでいた企業は生き残れそうですが、従来の技術しか持たない会社は利益の出る仕事を既に取れなくなってきています。
まさに2極化といって差し支えない状況が生まれています。
大手だから安心ということは全くなく、クラウド、更にその先のITの進歩や、移り変わりが激しいトレンドにフィットしていける企業を選べているかがミソということです。
2.SI業界は年功序列が根強い。評価が良くても大きく年収が上がることはない
SI業界の給与体系が「年功序列」であることは、多くのエンジニア社員にとってモチベーションが下がる事実です。
基本的にはクライアントありきの仕事内容ですから、競合他社と変わらない仕事をしているのに全然給料が違うということはザラにあります。
安易な転職はおすすめできませんが、結局のところ給料を上げるには「今より給料テーブルが高い企業に転職する」というのが最も近道です。
高評価で頑張ってるのに年10万すら上がらないというのはよくあることですが、転職したら同じような仕事なのに年70万も給料が上がったというのもよくあることです。
3.転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを選ぶ
エンジニアの仕事を詳しく知らないエージェントは選んではいけません。
- もっと経験が活かせる企業があったはずの人が、「とりあえず経験者がほしい」という程度の企業ばかり紹介された
- もっと高待遇で転職できたはずの人が、PRの仕方を知らないがためにそこまで給料を上げられなかった
ITエンジニアは引っ張りだこですので、転職するだけなら簡単に転職できます。
せっかく転職するなら、自分の経験を必要として高待遇で迎え入れたいという企業に選んで欲しいと思いませんか?
安易に「どこかで聞いたことがある転職エージェント」を使ってしまうと安売りされてしまう原因になります。
人材業界にはエンジニアの仕事のことをよく理解していて、顧客・求職者双方を上手くマッチさせてくれるエージェントも存在します。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを選ぶことは、転職での失敗を避ける基本だと覚えておきましょう。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェント
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを使うことは、2つのメリットがあります。
- これまでの経験を活かすことができ、転職後に必要とされる企業を見つけられる
- 年収を始め、自分を採用するために好条件を出してくれる企業を見つけられる
エンジニアにとっては転職で売り手市場な時期なので、せっかくなら好条件を出すと言ってくれる企業に転職したいですよね。
そのためにはエンジニアの仕事に詳しく、企業が求める人物像や背景を理解でき、求職者の能力を正確に把握してくれるエージェントが必要です。
技術面に詳しく、求職者へも親身に対応してくれる転職エージェントとしては以下の2社が挙げられます。
1.レバテックキャリア
IT分野の皆さんは、まず第一選択として「レバテックキャリア」は登録するということで問題ないでしょう。
特に、年収アップとスキルアップを目的とした転職においては、豊富な知見をもとに強力な力になってくれるはずです。
年収アップした求職者が7割を超えているということで、30〜40歳ごろの「転職で失敗できない重要タイミング」の方にも多く選ばれています。
もちろん、エンジニア経験者であれば20代も歓迎されます。
- ITエンジニア経験者の転職支援に特化した専門エージェント
- 保有求人7000件以上のうち、8割以上が年収600万円以上の求人(登録者の77%が年収アップを達成した高実績がある)
- 大手IT・WEB系企業からスタートアップまで幅広い転職支援実績がある
※サービス対象エリアは、関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)/関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)/九州(福岡)/東海(愛知)
※レバテックキャリアではエンジニア未経験者の求人は取り扱っていないのでご注意ください。
レバテックキャリア 公式サイト:
レバテックキャリアの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。
2.マイナビITエージェント
新卒採用で有名な「マイナビ」ですが、実はITエンジニアの転職に特化したサービスを展開しています。
全国区のエージェントだからこその案件数・カバー率に加え、エンジニアの仕事やトレンドに詳しいというバランスの良さがポイントです。
転職サポートに登録して最初の面談では、「あれもこれも紹介されても納得感がないと思うので、本当にマッチしている企業を10社だけ紹介させてください」という分かりやすいスタンスで接してくれるのも魅力です。
- IT・Web業界のエンジニアを専門とする転職エージェント
- 技術トレンドの変化を早期にキャッチしており、的確なキャリアアドバイスが得られる
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マイナビITエージェントの評判について別ページで解説していますので、エージェント選びの参考にあわせてお読みください。