「ヤマトシステム開発株式会社」は、宅急便で有名なヤマトグループのシステム開発を担うSIerです。
このページでは、ヤマトシステム開発の新卒・中途選考への応募を考えている方に向けて、技術社員(SE)からの評判・口コミをまとめました。
SI企業は大手からベンチャーまで多数存在しますが、SI業界のピラミッド構造(下請け構造)のせいもあり「どこも似たような企業に思えてしまう」というのが本音だと思います。
しかしながらコロナ禍以降のデジタルシフトの潮流によって、SI企業は「新しい技術の取り込みや、ユーザー企業が求めるトレンドの波に乗れているかどうか?」の岐路に立たされています。
企業研究を行う上で、実際に働いている技術職の社員や退職者の口コミは有意義な情報ですから、一通りチェックしておきましょう。
ヤマトシステム開発ってどんな会社?
まずはじめに、『ヤマトシステム開発』がどのような事業を行なっている会社かを振り返ります。
会社名 | ヤマトシステム開発株式会社 |
設立 | 1973年1月20日 |
資本金 | 18億円 |
従業員数 | 3,250人(2020年11月時点) |
事業目的 | SIer事業(コンピュータ利用システムの研究・開発・情報の提供、システムの運営管理等) |
主要拠点 | 東京:晴海オフィス、東陽町オフィス、武蔵小杉オフィス 大阪:本町オフィス、守口オフィス |
ヤマト運輸株式会社を中心とするヤマトグループのシステム全般を担っているのが、「ヤマト開発株式会社」です。
SIerという業種内で見ると、「ユーザー系」に該当します。
ヤマト運輸の宅急便事業で使われている基幹システムが代表的な仕事であり、大規模なシステムの企画、開発、運用を担う元請け(プライムSier)の立場にあります。
宅急便事業における大規模システムを取り扱うノウハウは、ヤマトグループ以外への外販にも活かされています。
例えば、大規模な物流システムが必要となる製造業や卸売業に対しても、宅急便の荷物情報を処理するノウハウを活用した外販に注力しています。
また社員数の面では3,000名を超えており、ユーザー系SIerとしては大企業に分類されます。
このうちシステムの開発や運用に携わる技術職は「64.2%」と公表されており、2,000名前後であることが分かります。
全体の34%が中途入社ということで、転職組は居心地が悪いということもないでしょう。
ヤマトシステム開発の「社風」に対する評判
ヤマトシステム開発に勤めた経験のある方に、「会社の社風に対してどう感じていたか?」についてアンケートをお願いしました。
社風というと漠然とした内容に感じますが、企業マインドは細かな事業方針や職場の雰囲気であったり、上司からの指示・指導にも影響を与える大事なポイントです。
細かくチェックしていきましょう。
近年は以前ほどフリーダムではないものの、基本的に風通しの良い雰囲気です。
部署によって雰囲気は異なり、自分は比較的風通しの良い部署にいましたが、全くそうでない部署もあります。
むしろ女性の方が意見を言いやすいのではないか?と思う雰囲気があります。
いい意味では手堅いのですが、チャレンジ精神がないと感じます。
ここ数年で革新的なサービスは生まれていない印象です。
ヤマトシステム開発の「事業内容」に対する評判
次に、「事業内容について技術社員の目線でどう感じているか?」についてです。
冒頭の振り返りでも記載した通り、主要な事業はヤマトグループにおけるシステム開発全般を担うことです。
まずはユーザー系のSIerということで、グループ会社の定期的なシステム更改があることからくる「事業と経営の安定性」に注目する方が多いのではないでしょうか。
そして、国内最大の運輸業者の物流システムに携わるという点に、どう感じているか気になるところだと思います。
(物流に関する基幹システム以外にも、ヤマトグループ内外で運輸や物流と関係のないシステムにも携わります)
実際に働く社員目線ではどう感じているのでしょうか?
評判・口コミを見ていきましょう。
その代わりに品質要求が厳しく、新しいチャレンジがしにくい印象がありました。
やはりヤマト運輸や宅急便が最重要であり、他のグループ会社もお客様にあたるので立場は弱いと感じる。
ヤマトシステム開発の「仕事内容と成長」に対する評判
続いて、ヤマトシステム開発の「技術社員の仕事内容や、成長できる環境かどうか?」の評判について見ていきます。
ヤマトシステム開発の技術部門は、「開発・運用・インフラ」の3つの役割に大別されています。
技術者として実際に働く上で、
- どの工程を担当するのか?
- キャリアアップできるのかどうか?
この仕事内容に関しては最も着目するポイントでしょう。
ただ、エンジニア職に関してはちゃんと1から教えてくれるので良かった。
新しいものを作っていくという雰囲気がなく、チャレンジしにくい雰囲気でした。
昇進条件に関わってくるため受講必須の場合も多いです。
ヤマトシステム開発の「年収」に対する評判
続いて、ヤマトシステム開発の「年収」について見ていきます。
年収よりも働きがいや残業時間の面を優先する方も多くなってきた昨今ですが、エンジニアという引く手数多な職業である以上、待遇がいいのか悪いのかは気になるところです。
企業サイト内にはモデル年収の表記がありませんが、ある転職エージェントの中途採用ページに下記のモデル年収が掲載されています。
入社年次・年齢 | 業務内容 | 年収(月収) |
10年・41歳 | ヘルプデスク・リーダー | 591万円(月49万円) |
---|---|---|
7年・31歳 | 運用 | 421万円(月35万円) |
2年・24歳 | オペレータ | 340万円(月28万円) |
このモデル年収では、基本給・手当・賞与といった内訳や残業時間が記載されていません。
内訳や残業時間によって、働く上での受け取り方は大きく変わります。
(極端な話、残業100時間だったら割に合わないと感じるでしょう)
実際の口コミ評判を見ていきましょう。
他IT企業と比較すると低い水準で、チーフ職に昇進してもそこまで給与は上がらない。
係長まで昇進すれば大幅に上がる。
残業代は出ますが、残業をほとんどしなかった新卒3年目ごろは年収400万を切りました。
一方で、リーマンショック時でも給与・賞与に変化がなかったほど安定している。
総支給額20万円強なので手取りだと15万円ほどで、賞与は年80万円くらいだった。
ヤマトシステム開発の年収に関するクチコミは「ヤマトシステム開発の技術職の年収は?給料・ボーナスを競合他社と比較」に詳しく掲載しています。
役職による年収推移は?(課長・部長など)
在職者と退職者の口コミを整理していくと、ヤマトシステム開発の各役職における年収推移は以下のようになりそうです。
役職名 | 想定年収 |
役職なし | 300〜500万円 |
係長 | 500〜600万円 |
課長 | 600〜750万円 |
部長 | 750万円〜 |
「年次での昇給ペースは緩やか」という口コミが多いものの、昇進して役職に着任すると大きく年収アップを達成することが可能なようです。
ただし、昇格試験には資格の取得のような条件もあるとのことなので、経験を積んでいけば自動的に昇進できるとは考えない方が良いでしょう。
ヤマトシステム開発の「残業・有給・働きやすさ」に対する評判
ヤマトシステム開発の残業時間と有給休暇取得率については、企業サイトにて下記のように公表されています。
平均残業時間 | 21時間/月(2019年度) |
平均有給休暇取得率 | 89.3%(2019年度) |
働き方改革に取り組んでいるということもアピールされており、平均残業時間が20時間程度というとSIerとしてはかなり残業削減が進んでいる印象を受けます。
公表されている有給休暇取得率が、付与されたトータル日数に対する消化率のことなのか読み取れないのが少し残念です。
実際に勤務している方から見るとどのように感じているのでしょうか?
口コミを見ていきましょう。
自分は月40h程度で有給はあまり消化できませんでした。
忙しい部署は慢性的に忙しいので、ある程度は覚悟したほうが良いでしょう。
プライベートの予定でも、事前に伝えていれば取得は可能だと思う。
子育てをしている自分には大変ありがたく、朝子供を保育園に連れていく時間も融通が聞いたりするので気持ちの余裕も段違い。
自分は残業80時間近くから半分以下(30時間)になってきた。
ヤマトシステム開発の「離職率と平均勤続年数」は?
長く勤めたい方にとっては、離職率と平均勤続年数が気になるところでしょう。
ヤマトシステム開発の離職率と平均勤続年数は、企業サイトの採用ページにて公表されています。
- 離職率:約5%以下
- 平均勤続年数:全社平均13年
ちなみに厚生労働省が2019年に公表した雇用動向調査結果によると、SIerが属する「情報通信業」の離職率は9.6%とのこと。
ヤマトシステム開発の離職率は5%以下ということですから、単純に考えれば業界平均よりは低く定着率が良いということが分かります。
一方、ネット上の口コミには以下のような内容もあり、真偽はともかく気になるところ。
事務職のような部署に配属された同期はプログラムを書くことが少なく、不安を愚痴ることが多かったです。
後悔のない仕事選びをする上では、離職率より退職理由に着目すべきです。
例えば、仕事では上流工程よりもプログラミングを重視したいとして、退職理由に「開発は下請け任せなので技術力が身に付かなかった」という内容があれば、その企業は避けるべきですよね。
ヤマトシステム開発を退職した理由は?
ヤマトシステム開発を退職したエンジニア社員の口コミによると、退職した理由は大きく以下の内容が挙げられています。
- 成長ができていないという不安・不満があった
- 同業他社と比較して給料が低いと感じていた
- 担当する業務の工程・内容に不満があった
退職理由の細かい内容や同業他社比較、辞めたいと考えたきっかけについては「ヤマトシステム開発を辞めたい理由は?SE目線で退職理由を考察」にて解説しています。
SI業界で後悔せずに転職するために覚えておきたいこと
SI業界での転職を後悔しないために、いくつか覚えておいて欲しいことがあります。
それは以下の3つのポイントです。
- SI業界(Sier企業)は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
- SI業界は年功序列が根強く、評価が良くても大きく年収が上がることはない
- 転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを利用する
ポイント1.SI業界は企業淘汰が始まっており2極化しつつある
SI業界はDXの追い風を受けて業績好調と思いきや、実際のところは企業淘汰が始まっています。
足元の状況を見ても官公庁にまでクラウドが普及しているのが現実で、オンプレのシステムはどんどん減らされています。
例えば富士通を始めとして早くからクラウドに取り組んでいた企業は生き残れそうですが、従来の技術しか持たない会社は利益の出る仕事を既に取れなくなってきています。
まさに2極化といって差し支えない状況が生まれています。
大手だから安心ということは全くなく、クラウド、更にその先のITの進歩や、移り変わりが激しいトレンドにフィットしていける企業を選べているかがミソということです。
ポイント2.SI業界は年功序列が根強い。評価が良くても大きく年収が上がることはない
SI業界の給与体系が「年功序列」であることは、多くのエンジニア社員にとってモチベーションが下がる事実です。
基本的にはクライアントありきの仕事内容ですから、競合他社と変わらない仕事をしているのに全然給料が違うということはザラにあります。
安易な転職はおすすめできませんが、結局のところ給料を上げるには「今より給料テーブルが高い企業に転職する」というのが最も近道です。
高評価で頑張ってるのに年10万すら上がらないというのはよくあることですが、転職したら同じような仕事なのに年70万も給料が上がったというのもよくあることです。
ポイント3.転職エージェントを使うなら、エンジニアのスキルやキャリアに詳しいエージェントを選ぶ
エンジニアの仕事を詳しく知らないエージェントは選んではいけません。
- もっと経験が活かせる企業があったはずの人が、「とりあえず経験者がほしい」という程度の企業ばかり紹介された
- もっと高待遇で転職できたはずの人が、PRの仕方を知らないがためにそこまで給料を上げられなかった
ITエンジニアは引っ張りだこですので、転職するだけなら簡単に転職できます。
せっかく転職するなら、自分の経験を必要として高待遇で迎え入れたいという企業に選んで欲しいと思いませんか?
安易に「どこかで聞いたことがある転職エージェント」を使ってしまうと安売りされてしまう原因になります。
人材業界にはエンジニアの仕事のことをよく理解していて、顧客・求職者双方を上手くマッチさせてくれるエージェントも存在します。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを選ぶことは、転職での失敗を避ける基本だと覚えておきましょう。
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェント
エンジニアの仕事に詳しい転職エージェントを使うことは、2つのメリットがあります。
- これまでの経験を活かすことができ、転職後に必要とされる企業を見つけられる
- 年収を始め、自分を採用するために好条件を出してくれる企業を見つけられる
必要とされることは単純に居心地がよく働きやすい環境と言えますし、どうせなら好条件を出すと言ってくれる企業に転職したいですよね。
そのためにはエンジニアの仕事に詳しく、企業が求める人物像や背景を理解でき、求職者の能力を正確に把握してくれるエージェントが必要です。
技術面に詳しく、求職者へも親身に対応してくれる転職エージェントとしては以下の2社が挙げられます。
1.レバテックキャリア
IT分野の皆さんは、まず第一選択として「レバテックキャリア」は登録するということで問題ないでしょう。
特に、年収アップとスキルアップを目的とした転職においては、豊富な知見をもとに強力な力になってくれるはずです。
年収アップした求職者が7割を超えているということで、30〜40歳ごろの「転職で失敗できない重要タイミング」の方にも多く選ばれています。
もちろん、エンジニア経験者であれば20代も歓迎されます。
- ITエンジニア経験者の転職支援に特化した専門エージェント
- 保有求人7000件以上のうち、8割以上が年収600万円以上の求人(登録者の77%が年収アップを達成した高実績がある)
- 大手IT・WEB系企業からスタートアップまで幅広い転職支援実績がある
※サービス対象エリアは、関東(東京・千葉・埼玉・神奈川)/関西(大阪・京都・兵庫・滋賀・奈良・和歌山)/九州(福岡)
※レバテックキャリアではエンジニア未経験者の求人は取り扱っていないのでご注意ください。
レバテックキャリア 公式サイト:
2.マイナビITエージェント
新卒採用で有名な「マイナビ」ですが、実はITエンジニアの転職に特化したサービスを展開しています。
全国区のエージェントだからこその案件数・カバー率に加え、エンジニアの仕事やトレンドに詳しいというバランスの良さがポイントです。
転職サポートに登録して最初の面談では、「あれもこれも紹介されても納得感がないと思うので、本当にマッチしている企業を10社だけ紹介させてください」という分かりやすいスタンスで接してくれるのも魅力です。
- IT・Web業界のエンジニアを専門とする転職エージェント
- 技術トレンドの変化を早期にキャッチしており、的確なキャリアアドバイスが得られる
- 「大手からスタートアップ」「SierからWeb」「派遣・SESから正社員」と言った、キャリアチェンジでのサポート実績が豊富
※マイナビIT AGENTは求人企業の性質上、関東・関西・名古屋といった都市部での転職サポートを専門としています。
マイナビITエージェント公式サイト: