IT派遣はスキル不足だけが理由で解約されることはあるのでしょうか。
ITエンジニアの派遣業界での解約理由には、業界特有の事情がありそうです。
この記事では、IT業界での派遣についての実情を踏まえた上で、その実態から解約後の考え方について具体的に解説します。
この記事を読むことで、
・IT派遣がスキル不足で解約されることはあるのか?
・IT派遣で求められているスキルとはどのようなものなのか?
・解約されないためには、どのような行動をすれば良いのか?
といったことが分かるようになります。
ITエンジニアとして派遣先に赴いていても、スキル不足が原因でうまくいっていない方、あるいは不安を抱いている方は是非お読み下さい。
派遣契約のITエンジニアは「スキル不足」を理由に解約されやすい?
派遣から赴いているITエンジニアはそのスキル不足が原因で契約を解約されるといったことはあるのでしょうか。
それは派遣先が契約時にどのような人材を求めていたのかによって変わりそうです。
たとえば、高単価でも即戦力を求めての人材であれば、実際にはスキル要件に合わなかったということで解約されることがあります。
しかし、20代といった比較的に若い年齢だと即戦力として採用したということは考えにくく、ある程度の将来性も考えて契約した可能性が高いでしょう。
すなわち、若い人であればスキル不足だけが理由で解約されるといったことは実際には少なく、スキル不足に加えて現場での経験を通して成長することも難しいと判断されたのかもしれません。
したがって、たとえ解約の方向性になったとしても、先ずは不足している点などを指摘して改善を促すことになります。
改善を促す指摘をしてもなかなか改善の見込みがないと判断されたら、厳しいですが解約に至ることになります。
派遣先は人手不足で派遣を導入しているので、本来は教育する余裕がない
そもそもの事情として、派遣先は人手が足らなくて人材を必要としています。ですので、外部からやってきた派遣社員を育てるために他の貴重な人材(つまりプロパー)を割り当てることは難しいです。
したがって、派遣された人は派遣先で求めているレベルに到達するための努力を自ら行う必要があります。
派遣先企業としても、仕事をこなせるようになるまでの猶予期間を見込んで導入していることがほとんどです。
スキルシートや顔合わせでの会話を通じて派遣者のスキルを把握した上で導入しているわけですから、現時点でどの程度の経験・スキルがあるのか、現状で不足しているスキルは何なのかについては理解しているはずです。
いずれにせよ派遣された人は、業務に必要なスキルを身につけるためには先ずは自分自身でできる限りの努力をすることが必要になります。
派遣のITエンジニアがスキル不足に陥りやすい理由とは?
派遣のITエンジニアがスキル不足に陥りやすい理由は様々ですが、ここでは代表的なものを4つあげます。
- スキル不足に対する教育は、派遣社員だと後回しにされやすい
- IT派遣の派遣者は定常業務を任されやすく、新しい仕事の経験を得づらい
- 派遣先の制度、社風に馴染めず、コミュニケーション不足に陥りやすい
- 気軽に相談できる人が身近にいないケースが多く、不明点が解消されづらい
それぞれ解説していきます。
理由1.教育は派遣よりプロパーが優先されやすい
社員共育については、どうしても派遣よりもプロパーが優先されます。
「派遣された人には即戦力として来てもらっている」という考えが多いことから、教育して育てるといった考え方をしている企業は少なくなります。
それは、概ねの派遣には派遣期間が決まっているわけですから、「長い目で育てるといったことが効率の良いものではない」という考えが根底にあることが原因です。
理由2.IT派遣は定常業務を任されやすく、新しい仕事の経験を得づらい
派遣されたITエンジニアは、どうしても定常業務を担うことが多いです。
そのため、たとえば最新の技術、スキルが必要になるような業務を任せられるといったことは稀です。
理由3.派遣先の制度、社風に馴染めず、コミュニケーション不足に陥りやすい
どの会社にも固有の制度、社風があり、派遣者はどうしてもそれに馴染めないこともスキル不足の要因となっていることがあります。
プロパーであればトップからの情報を入手しやすい環境にあり、制度、社風も理解しやすいでしょう。
しかし、派遣で来ている人にとっては圧倒的な情報不足の環境です。
制度や社風を理解できない、あるいは誤解することによって、職場での雰囲気が悪くなってしまい、円滑なコミュニケーションができなくなることがあります。
理由4.気軽に相談できる人が身近にいないケースが多く、不明点が解消されづらい
派遣として会社で働いていても、周りに同じ派遣元の社員が必ずしもいるわけではなく、たった一人で職場に入ることもあります。
そのため、プロパーとの間で壁を感じてしまい、「不足しているスキルについても気軽に相談できる人が身近にいない」といったケースが多いです。
スキル不足にも様々なパターンがある
ところで、ITエンジニアとして派遣先で働くためには様々なスキルが必要になりますが、それは必ずしも技術的な能力だけでありません。
ITエンジニアとして活躍するためには、技術的な能力以外にも特に以下の4つのスキルが重要になってきます。
- ヒアリング能力
- 論理的思考能力
- コミュニケーション能力
- 責任感
1.ヒアリング能力
顧客あるいはユーザーからの要求をシステムで正確に実現するためには、要件を正確にヒアリングする能力が必要になります。
概ねの要求は曖昧なものが多いので、それを反映させるためには、足らない部分を聞き出さなければなりません。
2.論理的思考能力
ITエンジニアとして活躍するためには、物事を論理的に考える力が重要です。
物事を論理的に考えることに強くなれば、プログラミングも効率よく進めることができます。
3.コミュニケーション能力
1つのシステムを開発するために、たった1人の人間が全てを行うといったことは滅多にありません。
ITエンジニアとして働くとしてもチームでの一員として動くことになるので、チームワークが大切になり、そのためのコミュニケーション能力が要求されます。
4.責任感
システムを設計、開発するにあっては当然期限があり、期限を超えると後に続く業務に影響を及ぼしてしまいます。
したがって、「期限までには絶対に終わらせる!」といった責任感が必要になります。
自社(派遣会社)のトレーニングだけでは不十分?
派遣会社に入社したら、一般的には基礎的なトレーニングを受けることになります。
しかし、そのトレーニングは「派遣先で受け入れられるレベル」までにとどまっていることが多く、それだけでITエンジニアとして活躍することは難しいでしょう。
ITエンジニアとして活躍するためには、その段階からさらにレベルアップして、「仕事を円滑に進められる段階」にまでなる必要があります。
派遣されて最初の時期はスムーズに仕事を進めることが難しいことはやむを得ませんが、早く活躍できるようになるためには、その後の本人の向上心と努力が必要になってきます。
未経験で派遣会社に入社した場合は特に厳しい
ITエンジニアは慢性的に人手不足であることから、その人材の獲得競争も活発です。
このような背景から、派遣会社では未経験者でもITエンジニアとして積極的に採用しています。
しかし、未経験で派遣会社に入社しても現実は厳しいようです。
先ず、派遣会社にはITエンジニアにとっての必要なスキル、特に技術的な能力を身に付けさせる余裕はなく、そのまま派遣先に派遣されるケースがほとんどです。
そういった人は当然派遣先で通用することは難しく、結果的に挫折しやすくなります。
それを防ぐためには、派遣された後も常にスキルを向上させていく必要があるのです。
「自社の先輩」が一緒だとクレームになりにくいって本当?
派遣先に自社の先輩が一緒にいると、スキル不足が原因でクレームになる可能性は低くなります。
それは、自社の先輩が一緒だとその先輩の指導を期待できるので、多少のスキル不足があっても解消される可能性が高いことにあります。
派遣先としても、派遣社員の教育のために社員の工数を奪っていない点でメリットが大きく、予算に余裕があればベテランと未経験者をセットで派遣してもらうといったケースもあります。
スキル不足を指摘されたら、どういう行動をとるべき?
派遣先にてスキル不足を指摘されたら、やはりそれを補うための努力をするしかありません
しかし、それは必ずしも仕事が終わった後に自費でプログラミングスクールに通うなどといった方法だけではなく、様々な手段があります。
先ずは、経験を通して身についていくものと、自分で勉強しない限りは身につかないものに概ねの分類をすることが大切になってきます。
そして、経験を通して身につくものについては、できる限りは業務を通してスキルを向上させていくことが望ましいわけですから、今の職場で貪欲に吸収していくといった行動が大切になってきます。
居づらくても無断欠勤を続けてバックれるのは厳禁!
派遣先で仕事がどうしても上手くいかず居づらくなると、中には無断欠勤を続けて、そのまま音信不通となる人もいますが、それは絶対に止めてください。
先ずは、会社を退職するためには様々な手続きがあるので、そのまま逃げ続けることは難しいです。
一方で派遣元としても、音信不通になれば無事を確認するための連絡を行う必要がありますので、実家への連絡に発展する可能性もあります。
スキル不足で解約になってしまった際に考えるべきこととは
最後に、スキル不足で解約になってしまった際に、どのように考えれば良いのかについて記します。
第一に、解約となってしまったことは撤回されないでしょうから、次を考えることが大切です。
その上で、スキル不足で解約になったのであれば、「何よりも自分の足らない部分を客観的に把握する」ことが必要になります。
ただし、派遣された先で必要とされていたスキルがたまたま合わなかったということも考えられます。
したがって、全てを克服するといったことを求める必要はなく、自分自身のキャリアプランを考えた上で、足らない部分を補うようにしましょう。
経験が少ない間は失敗することは当たり前であり、一番いけないことは同じ失敗を繰り返すことです。
いずれにせよ、解約になったことを不必要に引きずることはなく、次の職場を目指しましょう。